それは残業です ページ40
Tn「あー、まあ、俺の仕事じゃないですね。こっちはグルッペン、こっちは大先生でゾムとシャオロンの分もあります。」
そう言うと『なるほど』とAさんは呟いた。その顔は初めて会った時のようなしかめっ面だ。出会った当初よりも最近は表情が豊かになっていた。少しでも気を許してくれるようになったということか。様付けと敬語は変わらないが…。
『この書類の量。厚み。だいたい察しますがトントン様に任せっきりで仕事はしていない、と。』
Tn「一部はやってくれるんですけどね…。武器とか化学系の書類は…。」
アハハと乾いた笑顔を出す。すると値踏みするかのように書類を見つめていたAさんは溜息と共に書類を手に取った。そして俺が今書いているもの以外はワゴンに載せ始めた。
Tn「Aさん…?」
『トントン様。トントン様が他の人の書類をする必要はありませんよ。それは残業です。残業代は出してもらえていますか?』
「残業代…?」と聞くと『お金のことです。給料にプラスしたお金は貰っていますか?』と逆に聞き返された。当然そんな金は貰っていない俺が首を横に振ると『だろうと思いました…。』と頷かれた。
『これは私が責任を持って皆様にやらせます。トントン様はそれを飲まれたらお休みになられてください。あ、歯磨きはきちんとするんですよ。』
お母さんか、と突っ込みたくなるようなことを言われたが、その気持ちをグッと押し込む。『先程まで書いていた書類。あとは判子のみですね。それならばこれだけ押してください。』とパパッと判子を渡される。
Tn「Aさん。嬉しいんですが、流石のAさんといえどあいつらは書類をしないかと…。」
どの道押さなければいけないから、と判子を押しながらそう言った。俺が何度言っても駄目だったのだ。例え彼女であろうとも言うことを聞くとは思えなかった。しかし、Aさんは自信ありげな声色で『大丈夫ですよ』と言った。
『彼らの扱い方はこの1ヶ月で充分理解しました。』
「ですが…」そう言葉を遮ろうとして俺は止めた。何故か?単純な話だろう。
『とりあえず、餌になる明日のおやつはどうしましょうか…。』
Aさんが今まで見た事のないほどに悪い顔をしていたからだ。これは何も言わないのが懸命な判断だろう。うん、と頷き、俺はホットミルクを飲みほした。
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ayaka(プロフ) - 言わせて下さい。軍パロ好きだし、面白いし、料理についての知識も得ることができるし,,,何なんですかね?神なんですか? (2022年8月17日 23時) (レス) @page8 id: 2f95417bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 久々にサイトを開いたということもあり、先程続編を見てきましたが…リクエストせずとも夢主ちゃんが作ってくださってましたね(*´▽`*) これからも素敵な描写とお話を楽しみにしていますね! (2022年7月12日 10時) (レス) id: 44a9349275 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 「料理人として」にてtnが照れたのは何でなのでしょう…?夢主ちゃんの女神の微笑みでも見れたのかな(羨ま) リクエストで、某夢の国のトロトロスクランブルエッグが好きなので、夢主ちゃんに作っていただきたいです♡あと以前のコメに同士様がいたようで微笑ましい… (2022年7月12日 10時) (レス) @page49 id: 44a9349275 (このIDを非表示/違反報告)
みもにま - 七話のハーブとはのところにローズマリーが二つある気がします!とても面白いです、頑張ってください! (2022年2月27日 9時) (レス) @page7 id: 64af1c6a62 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - みこちと申します。素晴らしいです。私も異世界食堂のクロスオーバー小説を書いてますが、この作品は凄いです。まさにプロの作家さんのレベルですね。私は良く異世界物の飯テロ小説を読みますが、これも大好きです。応援します! (2021年9月1日 20時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鏡 | 作成日時:2021年6月28日 8時