＃ ページ26
「よぉ、ちゃーんと買えたか？…って、マリーどうした。そんなこわーい顔して」
「やなやつがいたんだよ」
そのあと、教科書やら大鍋やらいろんなお店をめぐって、見慣れない面白そうなものを見て、マリーはすっかりさっきのことを吹っ切ったようだった。
「あとは…杖だ！」
「うん、これはオリバンダーの店がいっちばんだ。ちいと用事を済ませてくっから。」
目の前には【オリバンダーの店＿紀元前382年創業、高級杖メーカー】の看板。
少しみすぼらしい建物だった。
中に入ると、奥の方でチリンチリンとベルの音がした。
カウンターがあるが、誰もいない。
「すみませーん」
マリーが二人分の荷物を壁近くの椅子に置いている。
ハリーが声をかけるが、応答はない。
双子が顔をどうしよう、と見合わせると、奥からはしごに乗った老人が滑ってきた。
「そろそろ来る頃かと思っていましたよ、ポッターさん」
あまりに唐突に現れたので、ハリーもマリーも飛び上がった。
「あなた方のお父さんとお母さんがここで最初の杖を買っていったのが昨日のことのようじゃ」
オリバンダーは双子にお構いなしで、壁という壁に積み重ねられた細長い箱を次々と触れていた。
なにをしているんだろう、と双子は彼を目で追った。
再び双子の前に現れたときには、オリバンダーの手にはひとつの細長い箱が握られていた。
「では、まずミスター・ポッターから」
と、箱の中に入っていた一本の杖をハリーに手渡した。
マリーは荷物を置いた隣の椅子に腰かけた。
ハリーはどうしたらいいかわからず、ただ杖を手にしたまま、オリバンダーを見つめた。
「ほら、振ってみなされ」
ハリーが杖を振ってみると、店中に積まれている杖の箱が次々と棚から落ちてきた。
オリバンダーは自分の杖をひょいと振り、今まさにマリーの頭の上に落ちようとしていた箱たちを見事に浮かせた。
「こりゃいかんな」
もう一度姿を消したオリバンダーは、また別の箱をハリーに渡した。
これも振ってみたが、今度は近くにあった花瓶がパリンと割れてしまった。
「もしかすると……」
オリバンダーさんは、双子を交互に見つめた。
なにか、恐ろしいことにたどり着いたかのような表情で。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんこもち(プロフ) - マナさん» 答えられるものでしたら答えますよ。 (2021年5月21日 21時) (
レス) id: 1c65ba4acb (このIDを非表示/違反報告)
マナ - あんこもちさん» こんばんは……質問していいですか？ (2021年5月21日 20時) (レス) id: 6153e9bd6b (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - 麗さん» 変換ミスでした。ご指摘ありがとうございます。 (2021年2月4日 21時) (レス) id: 1c65ba4acb (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - ダドリーは男の子なのでどちらかというと 従妹 より 従弟 ではないでしょうか？ (2021年2月4日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - ミルク さん» 嬉しいお言葉感謝致します。ですが、当サイトでも盗作等の被害がみられるのも事実です。そのため、大変有難いお言葉ですが、トラブルを起こさないためにも、お控えくださると嬉しいです。どうかご理解のほど、よろしくお願いいたします。 (2020年10月30日 23時) (レス) id: 1c65ba4acb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2020年4月22日 1時
