＃ ページ14
おじさんはいつまでも車を走らせた。
ダドリーでさえわがままを言えなくなり、おばさんが話しかけると、おじさんは怒鳴った。
「遠くへ…遠くへ行くんだ。」
すっかり夜になり、やっとおじさんは車を停めた。
外はこれから嵐が来そうな強い風が吹き、暗くてもわかるほど、黒い雲が厚く立ち込めていた。
「ここならあいつらも追ってこれんだろう」
おじさんが満足そうに目の前の建物を見上げた。
後ろには荒れ狂う海。
小さなボートに乗り込み、着いた今日の宿はなんともお世辞にもきれいとは言えない、おんぼろな一戸建てだった。
一同はきしむ扉を開き、中に足を踏み入れた。
中はもっとひどかった。
海藻のにおいがプンプンと鼻をつき、壁の隙間からヒューヒューとすきま風が吹き込んでいた。
おじさんが食料といってもってきたのは、ポテチひとり１袋、バナナ4本だった。
「今ならあの手紙が役に立つかもしれんなぁ」
おじさんはなんだか楽しそうだった。
夜がもっと深くなると、嵐もひどくなっていった。
ダーズリー夫妻はキシキシ音を鳴らすダブルベッドに、ダドリーは穴だらけのソファに寝床をこしらえた。
ハリーとマリーは、床の柔らかそうなところを探し、1番薄い、１番ボロな毛布に、体をぴったりとくっつけてくるまった。
ハリーもマリーも眠れなかった。
ソファからだらりとはみ出し、ブラブラしている爆睡中のダドリーの太った手首に、蛍光文字盤付きの腕時計が、あと10分で日付が変わることを教えていた。
そう、双子の11歳の誕生日だ。
双子はぴったりと体をくっつけたまま、床にバースデーケーキをふたつ、指で描いた。
真ん中に、『HAPPY BIRTHDAY』の文字も添えて。
あと5分…
外で何かがきしむ音が聞こえた。
どうか屋根が落ちてきませんように…
あと…
あと10秒……5、4、3、2、1……
「ハッピーバースデー、マリー」
「ハッピーバースデー、ハリー」
ふぅーっと、ろうそくを消すように、ろうそくに見立てた絵を吹き消す。
目を合わせ、双子に少し幸せそうな笑みがこぼれた途端、ドーーン！と扉がすごい力で叩かれた。
誰かが外にいる。
誰かが小屋のドアをノックしている。
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あんこもち(プロフ) - マナさん» 答えられるものでしたら答えますよ。 (2021年5月21日 21時) (
レス) id: 1c65ba4acb (このIDを非表示/違反報告)
マナ - あんこもちさん» こんばんは……質問していいですか？ (2021年5月21日 20時) (レス) id: 6153e9bd6b (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - 麗さん» 変換ミスでした。ご指摘ありがとうございます。 (2021年2月4日 21時) (レス) id: 1c65ba4acb (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - ダドリーは男の子なのでどちらかというと 従妹 より 従弟 ではないでしょうか？ (2021年2月4日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - ミルク さん» 嬉しいお言葉感謝致します。ですが、当サイトでも盗作等の被害がみられるのも事実です。そのため、大変有難いお言葉ですが、トラブルを起こさないためにも、お控えくださると嬉しいです。どうかご理解のほど、よろしくお願いいたします。 (2020年10月30日 23時) (レス) id: 1c65ba4acb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2020年4月22日 1時
