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「久しぶりだね、Aくん。体調はどうだい?」
「…はい、大丈夫です。お気遣いありがとう、ございます」
「そうか」
教員寮の談話室
テーブルにはそれぞれに缶コーヒー(淹れられる人がここにはいない)が置かれ塚内・相澤、その対面にAが座っている。社交辞令のような挨拶を交わし一旦そこで言葉が途絶えてしまうのは一重に今この場の空気がどことなく重いからにほかならないだろう
Aは警察に身を置く塚内から話される内容に緊張し、塚内は久々のAとの対面にどこか緊張している
お見合い前かと相澤はツッコミたくはなったがそれを言ったところでこの2人がそれで緊張が解れるとは思えないのでやるだけ無駄だろうと傍観を決め込む。その相澤のその場を合理的に判断し静観してる姿もまたAには少々威圧感を感じて萎縮してしまってる要因になっているというのは置いておこう
「えっと、そんな緊張しないで?怖い話をしに来たわけではないんだ」
「あっ、えっと……す、すみません」
和ませようとあえて言葉にしてみた塚内だが目の前のAはビクリと肩を揺らし申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べると更に萎縮してしまう。自分が少年対策課とかに配属されていたらこう言ったタイプの少年との対話の仕方とかをこの12年の間に身につけられていたかもしれないなとふと思う
「12年…私はただ覚えていただけだ。ダメだな」
「え……」
漏れ出てしまった言葉はもちろんAの耳にも聞こえていて思わずと顔を上げ合わなかった視線がようやく合う
塚内の記憶の中にあるどこか心細げに揺れていたエメラルドの瞳は今も尚目の前で不安げに揺れている
ずっとずっとそうして不安定な場所で必死に生きていたんだろう
「この前、君は私にありがとうと言ってくれたね」
「……は、い」
唐突に語り出した塚内にAは困惑した様子を隠せない様子で同意の言葉を返す。いつの話だったっけ?ああ、この間の事かと記憶を呼び起こしてるのだろうなというのが見て取れて少し面白かった
「…私は君に礼を言われるような事はしていないんだよ。“悟竹心“だったかもしれない子供を見たってだけであの後捜索もおざなりにヤクザが壊滅した後も君の行方を追わなかった。心の隅に辛うじて留めて身を案じてる風を装ってただけで、君が12年の時を経て雄英高校に来るまで何もしなかったも同然なんだ」
だから、君にありがとうと言われた時とても胸が痛くなったと話す塚内は本当に痛そうに苦しそうな泣き出しそうな表情だった
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みけいぬこ(プロフ) - ryupu861さん» コメントありがとうございます!続編は書こうと思ってましてようやくとなりました✦ฺまたお来ていただいてありがとうございます!更新頑張っていきますね! (2023年4月4日 7時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
ryupu861(プロフ) - 初めまして!何ヶ月か前に読んでいて、続編が出ていてびっくりです!これからも楽しみにしています! (2023年4月3日 23時) (レス) @page42 id: 951cdc533b (このIDを非表示/違反報告)
縷々(プロフ) - みけいぬこさん» わっ、わっ、レスありがとうございます✨恐れ多いだなんて!!もっと自信を持ってください!!みけいぬこさんの文才には到底敵いませんが、仲良くしていただけると幸です!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: a8b0369670 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 縷々さん» そして!!小説書かれていたのですね!しかも…私のようななんて…嬉し恥ずかし恐れ多い!でも嬉しいです✧︎共に楽しんでいきましょう!! (2023年3月30日 12時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 縷々さん» コメントありがとうございます!そして友人申請気づかず申し訳ありませんっ!普段あまりないので💦仲良くしてくださいませ!深夜に発狂笑考えが纏まらず原作がハラハラ展開すぎてどうしようかと思ってました!普通の人生、波乱気味ですが歩ませていこうと思います! (2023年3月30日 12時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2023年3月17日 12時