【ヒロアカ】竜のみる夢9

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｢…君は、無闇に個性を他人に使おうとするべきじゃないよ｣



身藤の魔の手から逃れた今でもなお

誰かのために力を使おうとする

それは刷り込まれてしまった故なのか

元来の性格故なのか


どちらにしても、そんなんでは

汚い大人達にすぐ取り込まれてしまう



｢もっと自分を大事にするべきだ。じゃないと悪い大人に食べられちゃうよ｣


｢わるい、おとな…｣





ホークスが文化祭の警備を自ら申し入れたのも

今、Aを連れて2人っきりになっているのも

Aが心配で何かしらの形で守れないかと思ったから

表立って守ることも会いに行くことも心配することも出来ないから

なにか理由をつけて無理矢理にでも機会を作らなきゃ会えないから




｢(元気な姿を遠くで見れたらそれでよかったんだけどね)｣




そうは言っても出来ることならたわいない話をしたかった

この仔竜の記憶に、心の本の隙間に自分というものを残したかった

闇に穢されてもなおその無垢さを失わない守るべきもの

彼が自由に生きられる未来こそ

自分の望むヒーローが暇を持て余す世の中だと

こじつけでもいい

この美しい生き物の平和の礎のひとつに自分もなりたいと思う

だから、少しでも近づきたい

罪滅ぼしなのかもしれないし

過去、そしてこれからの罪に対する懺悔なのかもしれない

君を利用しているだけなのかもしれない…







｢ホークスは、わるいおとなじゃないよ｣

｢！｣







そんな醜い感情を抱いているのも知らず、

当たり前のようにそう言葉をくれる






｢ホークスはぼくをさらってもちゃんと返してくれるし、しっかりつかんでおちないようにしてくれる。それにとてもあったかくてやさしい｣




何も知らないくせに

これから何をするかも分からないのに

君を傷つけるかもしれないのに

それでも君は優しいと言ってくれる

悪くない、と言ってくれる






｢…かーーーっ！なんこれ！ばり可愛いか！どげんね！｣

｢…ばり？？｣



Aには理解のできない単語を放ったかと思うとホークスはいきなりぎゅっと抱きしめてくるものだから程よい圧迫感がAを包む。器用に空中で止まりぎゅうぎゅう抱きしめてくるホークスの顔を見つめれば眩しいものを見るように目を細めで幼く見える笑顔を浮かべていた


｢あー。イレイザーさんほんと羨ましか｣


そう言って優しく見つめてくれるから、やっぱり優しいなとAは思う

この人も、怖い人ではない。と






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