仔竜、迷子のように ページ29
「……」
「スー、スー……」
文化祭も終わった深夜、爆豪は自室で深く寝入る仔竜を眺める。翼が潰れるのも気にせずベッドに横たわる姿はいつ見てもアホそうだなと内心思いつつ、爆豪は先程部屋に訪ねてきた相澤との会話を思い出す
＿＿明日、プッシーキャッツがお前達に会いに来る
それを何で俺に言うのか、初めは意図がつかめなかった。しかし、プッシーキャッツと言われて思い出すのは先日の林間合宿であり、神野の事件
それですぐ、Aに関するものだと察した
「スゥー……」
穏やかな寝顔
彼女たちがこの平穏を崩す張本人だとは言わない
けれど、彼女たちから連想されるものたちがよろしくない
「(Aは神野のことの一切をまだ思い出しちゃいねぇ…)」
無意識か意識的にか、(前者だとは思うが)Aの精神に大ダメージを与えているであろうあの日のことをAはまだ受け入れられていない。明日プッシーキャッツと会ってどこまで思い出すか…そもそも思い出すのかも謎だが何かしら影響があってもおかしくない。だから相澤は先に言いに来たのだ
何かあった時のための対処をさせる為に
「(何しにくんだよ、あいつら…)」
彼女たちが悪い訳では無いがそう考えてしまうのも仕方ないと思ってほしい。せっかく平穏に過ごしているのだから…
「(……いつまでも、忘れたままじゃダメってことか)」
今のAが忘れてることは神野の事件だけではない
そこに居合わせた敵連合のことも忘れてるし
一番大切であろう思い出も忘れている
＿＿＿よろしく頼むよ
「……」
余裕綽々な態度で慈愛に満ちた瞳で
そう声をかけてくる一人の男
血の繋がりのないAの保護者
けれど、誰よりもAの幸せを願っている人物
そんな奴のことを忘れてしまうA
爆豪は、それに覚えがある
あの日あの時あの場所で
ほぼ意識もなさそうに見えたA
しかし、その双眸からは絶え間なく雫が流れ
爆豪の願いに呼応して傷を癒そうとしていた
「スー……スゥ……」
ベストジーニストのあんなボロボロな姿
見たくなかったことだろう
むしろ自分を救うためにAFOに立ち向かった結果
Aにとって、思い出したくない記憶
ベストジーニストが今どこにいるのか
怪我の療養がどこまですんでるかも
何も分かっていないしすぐ会えるわけもないのだろうと爆豪は思う
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 320人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - さやかさん» ありがとうございます！楽しみにしてもらえてるのが励みになります！更新していきますねー(●´ω｀●) (2022年7月18日 8時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - 毎回楽しく読ませていただいてます！これからも楽しみにしてます。 (2022年7月14日 15時) (レス) id: d179a9363a (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - mikittyさん» 私はコメントが活力になってます( *¯ ꒳¯*) (2022年7月7日 17時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - みけいぬこさん» 更新が1日の楽しみになるくらいに、楽しませてもらっています！ (2022年7月5日 17時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - mikittyさん» ありがとうございます！楽しんでもらえてますでしょうか｀・ω・ (2022年7月5日 16時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年6月24日 9時
