プロローグ ーあの頃の廃棄物ー ページ1
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初めて人を好きになったのは、いつだっただろうか。
幼稚園児が繰り広げる「大好き」とか「結婚しようね」とか、そんな
私だって約十年程前には、そんな可愛げのある少女だったのだから。
含まないというのなら、私の初恋は割と最近のことになる。
何ら変わったことの無い、普通の恋心だった。
……いや、恋心とは少し違うのかもしれない。
違う、というより、それを「恋心」と呼んでいいのか分からないのだ。
恋って、好きって気持ちって、一体なんなの?
触れたい、手を繋ぎたい、キスしたい、結ばれたい。
そう思えば、それは全て恋なのですか?
あの頃の私の気持ちは、「恋心」と呼べるのですか?
もしその問いに誰かが「YES」と答えるのであれば、首を縦に振り、改めてあの感情に「それは『恋』だ」と名前を付けるのであれば、あの恋は私にとって、あまりにも残酷すぎる出来事だった。
今だって、「あの瞬間」は鮮明に思い出せる。
思い出したくもないけれど。
できることなら全て忘れ去ってしまいたいけれど。
それが出来ないから、あれは脳裏に色濃く焼き付いている。
だから私は、これ以上あの記憶が蘇らないよう、瓶の口にコルクを押し詰めるかのように、精一杯の力で蓋をして。
またあんなことが起きないように、失敗を繰り返さないように、廃棄物として「捨てた」のだ。
ーー「恋」を、「好き」という感情を、全て。
もう絶対に、人を好きになんてならない。
自身が誰かを愛することを、許さない。
だから、ね。
あの頃の馬鹿で愚かで滑稽な私は、あの頃の私だけは、
(どうか、赦してください)
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acotatta(プロフ) - とてつもなく面白いです...!!夢主ちゃん可愛いし描写うますぎませんか?! 応援してます〜!! (2019年9月18日 0時) (レス) id: 8be6c7c599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星奈 ふゆ | 作成日時:2019年9月16日 18時