＊ ページ44
「嘘だな」
「っ、ちが……」
真っ直ぐに図星を突く一言に、反論の言葉は口先で溶けていく。
じっと覗き込まれる瞳は、一体彼の目にはどう映っているのだろうか。
……きっと、明るい色は孕んでいない。
「Aの嘘に俺らが気付かへんわけないやろ？」
うらたくんの肩口からこちらを覗き込んだ坂田くんの言葉に、私はついに続く反論を失った。
……だって、事実だから。
ぱくぱくと口を動かし、誤魔化す方法を模索するけれど、それは見つからない。
「……何があったんだ？」
するり、と頬をひと撫でしてから手を離したうらたくん。
言わない、言えない、口を噤む。
どうにか視線を逸らし、一歩後ろに後退れば、目の前の翡翠と柘榴はどこか悲しげに歪んだ。
胸を支配するのは罪悪感。
真実を告げても、告げなくても。
結局は、彼らを傷付けてしまう。
(最低だ、私)
じわ、と涙が滲みそうになるけれど、必死に堪える。
泣くことすら
俯き、若々しい緑の絨毯に視線を落としていると。
「……ったく……」
小さなため息混じりの声が、頭上から降ってきたような気がした。
恐る恐る顔を上げれば、そこにはあまりにも複雑そうな表情をした二人がいる。
優しさを基礎に、ちょっとの悲しみを混ぜたような、そんな表情。
一瞬、ほんの一瞬だけ視線を交えた二人は、何かを覚悟したように口元を引き締めた。
「ひとりで抱え込むなって、あんなに言ったのに、なぁ？」
「ほーんと。どんな相談されても、俺らがAを嫌いになることなんか一生あらへんのに」
くすくすと笑いながらそう述べる二人に、私は涙すらも忘れてきょとんと首を傾げる。
そんな私を一瞥して、ちょっと瞼を伏せて。
「覚えてないんだろ？ ……昔の約束」
小さな笑みの、問いかけ。
「え……？」
時が止まる。
背筋が凍る。
ーー視界の全てが、色を失う。
「な、に……言って……」
「そんなわけないでしょ」って。
言えばいい、のに。
たったそれだけ、なのに。
(……言えない……っ………)
わなわなと震える唇からは、それ以上の言葉が望めない。
ぷるぷると肩を小刻みに震わせる私に、二人とも確信を抱いたようで。
坂田くんの赤い瞳が、少し寂しそうに細められる。
「A、大変やったんやもん。……しゃーないで」
さっきとは比べ物にならない程の罪悪感が胸を刺してーー
「……っ、ぅ……」
私の涙は、それ以上の我慢を知らなかった。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
