伍／中途の村にて ページ19
ーー視界に、柔らかい光が差し込んでくる。
心地良い微睡みが遠のいて行く感覚。
目が、覚める。
「……っ、ん……」
小さな呻き声と共に、私の瞼はゆっくりと持ち上がった。
突然の光にちかちかする目と頭。
辺りがはっきりと見えるようになった後、私はゆっくりと上体を起こした。
「ここ、は……」
ぐるりと辺りを見渡せば、私がいるのは小さな民家だと分かる。
お世辞にも「新しい」「綺麗」という言葉は似合わない、ちっぽけで
その中の布団の上で、私は眠っていたようだ。
着物はそのままで、少しだけ折れてしまっている。
「っ、そうだ、みんな……！」
昨日の記憶が、どばっと頭に流れ込んでくる。
昨日助けてくれたみんなはどこに行ったのだろう。
ずっと会いたかった彼らはどこに居るのだろう。
探しに行こうと、立ち上がろうとした時だった。
「……A……？」
どこかからか、そんな声が聞こえた。
声のした方向ーー玄関の方には、手拭いのかかった木の桶を持ったセンラくんがいた。
見開かれた瞳は蜂蜜色。
その蜂蜜が、とろりととろけるように柔らかく細められる。
「目、覚めたんやね。大丈夫？」
「え、あ、はい。なんとか……」
どう反応すればいいのか分からなくなって、しどろもどろになりながら言葉を返す。
くすり、と笑ったセンラくんが、布団に座る私の隣に腰を下ろし、とん、と肩を押した。
「まだ寝ててください。みんなは呼んできますから」
ことりと音を立てて床に置かれた桶の中には、透き通った水がきらめいている。
布団の中に押し戻された私は、てきぱきと手拭いを用意する様をぼーっと眺めていた。
すると、用意し終わったのか、濡れた手拭いがすっと差し出される。
「どうぞ」
「……あ、ありが、とう……」
微笑んだセンラくんは立ち上がり、「みんな呼んできますね」と身を翻す。
その後ろ姿が玄関の向こうに消えて、私は手元の手拭いに視線を戻した。
畳まれたそれを頬に当てると、ひんやりとした冷たさが体温を下げてくれる。
(……夢じゃ、ない)
どうしようもない嬉しさに、私は手拭いに顔を埋めて笑みを零した。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
