夏夜に舞う花吹雪【浦島坂田船】

ｰ決意ｰ ページ13

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辺りで、無数の緑葉が揺れている。



美しい、夏の景色。



どこかから蝉時雨が響く、夏の夕暮れ。




「ほんとにいいんですね、うらたん。俺達、結構やばいことするつもりですけど」



「……あぁ」




背後から、センラの問いが聞こえてくる。



最後の問い。



俺の……俺たちの答えは、変わらない。




「ヘマすんなよ坂田」



「まーしぃこそ」




いつものまーしぃと坂田のじゃれあいも、どこか緊張が走っていて。



それほど、俺達がこれからしようとしていることは「普通ではない」のだろう。



瞼を閉じて、息を吐く。




瞼の裏に映るのは、「あいつ」の笑顔。



もうずっと見ていない、遠い昔の笑顔。



ーー守ると決めた、大切な親友の笑顔。



随分と、時間が経ってしまった。



目撃情報があってから、早一週間。



きっと、辛い思いをしている事だろう。




(……ごめんな、遅くなって)




絶対に。



絶対に、連れ出してみせよう。




ーーあの日誓った約束を、守るために。




ゆっくりと、瞳を開く。




「行くか」




静かに響いた俺の声が、生い茂る緑を揺らした。




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