【名探偵コナン】転生案件はお呼びでない

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松田陣平が言ったとおり諸伏景光が床で寝ていた。




寝るならせめてソファで寝ろと体を揺すってみると半目で名前を呼ばれた。




うん、そうだよ。と答えると手を握られた。寝ぼけているのだろうか。




掌と指を合わせると「小さい」と呟いて笑っていた。当たり前だ、私は女なのだから。




「それでも、細くて小さい」と愛おしげに言う彼に少し驚いた。やっぱり寝ぼけているな。




「朝食作るから顔洗ってきてください」と言ってデコピンしてやった。嬉しいそうに「わかった」と言ってくる、調子狂うな。




リビングに立つと昨日予約して炊いておいた白米でおにぎりを握った。具はおかかと梅干し、あと塩。文句言うなよ？それしかなかったんだから。




卵焼きと味噌汁だってあるんだ。作ったおかげで気力が全部失った。仕事しないといけんのに、どうしてくれるんだ。




「あ、おかか」




「俺塩だった」




目の前におにぎりを貪り食う成人男性二人。私も食べようとおにぎりに手を伸ばす。あ、梅干し。




うん、ちゃんと握れてるな。塩加減もちょうどいい。良かった良かった。




「お前握んの上手いな」




ちょうどいい硬さと松田陣平に褒められた。そうだろうそうだろう、前世の母からバッチリ仕込まれたからな。




おにぎりだけなら降谷零にだって負けない自信すらある。そうだ、あれが洋食なら私は和食でも極めてみようかな。




味噌汁を啜りながら和食を極めるか悩んでいる。あ、今日の味噌汁味最高。




身に染み渡る。日本に生まれて良かった。ホッと一息していると「完全に胃袋掴まれた」と松田陣平が呟いていた。




え、そんな美味しかった？感想教えろと松田陣平に迫ってみたら「嫁に行けるぐらい上手い飯」と評価を頂いた。




嫁かぁ、残念ながら貰ってくれる相手はいないな。「貰い手いなくて泣きながら縋り寄ってきたら貰ってやるよ」と嫌味ったらしく言ってきやがった。




生憎ながら間に合ってます。お前はもっと良い嫁さんもらってさっさと結婚しろ。諸伏景光、お前もだ。




そういうと諸伏景光は眉を潜ませて「約束、忘れたのか」と聞いてきた。




まだ覚えてたのか。本気にするなよ、イレギュラーの私ではなく他の人のところに行って欲しいんだけどな。




だから「約束ってなんだっけ」と嘘をついた。目を伏せてわざとらしく。もう何も言わせないように。




ずるいし汚いのは私の本性なのだから仕方ないだろう。

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