壱ノ章 ページ2
*
「ん？鱗滝、その
引き戸を開けた瞬間、異様な雰囲気を持った女が綺麗な空色の瞳を光らせた。
「ひっ！お、鬼！？」
酒を飲みながら楽しそうにそんなことを言い出す明らかに人間でないものに、少年が怯えたように声を漏らす。
当然と言えば当然だ、額からはいかにもな角が生え、歯は鋭く尖っているのだから。それを見かねた鱗滝左近次は、はぁ、とため息を吐いた。
「また来ていたのかA……」
「久しぶりに酒が飲みたくなってのう」
そう言いながら酒をガブガブと飲み始めるAと言われた女に、少年は疑問を浮かべた。聞いたところ鱗滝は元鬼殺隊の柱、何故目の前の鬼を狩ろうとはしないのだろうと。
少年……冨岡義勇は鱗滝に視線をやった。
何とも言えない表情(と言っても顔は面で見えない)で胃の辺りを抑えている。
幼いながらに、この人は中々の苦労人だと理解した。
「そやつを弟子にするつもりか？」
「ああ、そうだ。」
一升瓶を飲み終えたAが愉快そうに喋り出す。あんなに日本酒を飲んでもケロリとしているとは、なかなかの酒豪だ。
一方鱗滝は、自分の家で堂々と酒を飲んでいるAに若干キレていた。いや、訂正だキレている。
「……」
「……」
この不穏な空気に包まれ、何とかせねばと思いたった義勇がおのずと自分の名を口にした。
「えっえっと冨岡義勇、です」
「義勇か、良い名じゃのう、
「えっと、はい」
中々に友好的だ。どういう事かと義勇が鱗滝を見てみれば、溜息を吐きつつ説明し始める。
「Aは確かに鬼だが人を食わん。お前の姉を襲った鬼とは違うモノだ」
何を言っているんだ？と義勇は思った。自分とその姉を襲ったのと違うという事を言いたいのか、はたまた鬼ではない何かなのか。
「まさかとは思うが義勇、妾のことを鬼舞辻めの作った紛い物と同じと思っていたのか？心外だ、妾は鬼にされたのではないぞ？元からだ」
２本目の瓶を開けながらAは淡々と話す。
「そうなんだ……」
「そんな事よりも義勇」
「え？はいっ！」
“そんな事よりも”と言ってきたAに自然と義勇が身構えた。
「お主は可愛らしいのう…気に入った。甘味を買ってきてやろう」
「え？」
急に自分の事を可愛いと言われ、頭をくしゃくしゃに撫でられた義勇はもうAについて一々動揺する事を諦めた。
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月縹(プロフ) - 広海さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！！前程更新頻度は高くはないけど、見てくださる方がいるなら頑張れます😭😭 (2021年11月12日 21時) (
レス) id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
広海 - とても面白いです。これからもがんばってください! (2021年11月12日 20時) (レス) @page47 id: 4ad4f67aa2 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 闇姫さん» 嬉しいです！コメントありがとうございます！無限列車…カ、カキタイ… (2020年10月12日 20時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
闇姫(プロフ) - 凄い面白かったです！無限列車も見たいなと思っております！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: aeb4d97102 (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 腐りかけの果物さん» こちらこそありがとうございました！！他の作品(新作とか)なども読んで頂けると嬉しいです！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
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