狙うは世界一の妻【ブルーロック】【男主】

#7 ページ8

「ーーー"W杯優勝"という新しい夢を見る勇気はありますか？その全てが青い監獄(ブルーロック)にある!!!!」

『俺の将来の旦那候補見る？何人か気になってる奴の写真持ってきたんだよね』

「個人情報持ってきちゃったんですか!?」

『きちゃった!!!青い監獄の全てがこのタブレットの中に……!!!!』

「それ言っちゃダメです!!早くしまって!!」

タブレット片手にバカやっている世界一のMF(27歳独身)を、鳩が豆鉄砲を食ったように見つめている男がいた。

「おーい冴ちゃーん？」

「…………なんであの人がここにいるんだよ」

「あれ、知らなかったの!?今朝ニュースになってたけど」

「……言えよ」

「もう知ってるものかと……ほら、冴ちゃんユウェルさんのこと大好きだから」

「話してくる」

「ちょっと!!?」

日本の至宝と呼ばれる天才MF糸師冴
現在数メートル先で質問攻めをしてくる記者に対して「邪魔」と普段の可愛らしさの欠片もない雰囲気で蹴散らしているA・ユウェルの弟子(自称)である。


「Aさん」

『!!?さえ、っ!?なんで日本にいるんだ!?』

「パスポート切れた」

『なるほど』

「あんたこそなんでいるんだよ」

『会見聞いてただろうけど、この青い監獄プロジェクトのサポーターになったんだ。世界一のストライカーを作る実験、つまり俺の旦那さんを作るってことだからね。飛んで来た』

そういう重大なことは最初に弟子に伝えろ、と肩を掴む冴にAは師匠になった覚えがないよ、と笑って返すのだった。ちなみにこの師弟やりとりは2人が出会ってから今日までで通算700回目に達した。

師弟では本当にないが師弟のような関係なので師弟でいいだろ、と冴は言うが、でも結局師弟じゃないよ、とAは言う。
だが周囲からはどう見てもAは冴を猫かわいがりしていて、冴はAの傍にいるときは大人しく素直なので全てのサッカーファンが口を揃えてこう言う。

「「「「2人は師弟」」」」

師弟だと言っても思ってもいないのはAだけなことを本人は知らない。


「聞きたいことや話したいことが多い」

『昼まだだよね。日本の友人オススメの店に行こう。時間は？』

「あんたがいてくれる限り」

『食べたあとはこっち(日本)の家に向かおう、庭にサッカーコートがある。パス練習付き合ってくれる？』

「勿論だ」

ぎゅう、と自身の二の腕をホールドし体をぴたりとくっつけながら歩く冴にAはこの日１番の笑顔を浮かべた。

この日の夕方頃にサッカーファンを驚かすであろうニュースは決まったとカメラが向けられていることを浮かれている2人は知らない。
「天才MF師弟、日本デート」

#8→←#6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す