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あ諸伏君と降谷君は、クラスこそ違うものの、登下校時に一緒にいない姿には馴染みがないほど仲が良く、授業後、私たちのクラスのホームルームが長引くと、降谷君が教室の前で諸伏君を待っている姿をよく見かけた。
「中学にあがる頃には既にモテてたなぁ」
「そうなんだ」
あ昔から女の子ばかりと仲良くしていて、男の子と会話することなんてなかったせいか、話題を膨らませるような相槌を打てない私に、けれど諸伏君は人好きのする笑顔を浮かべたまま話を続けてくれた。
「バレンタイン当日なんて、登校したら、アイツの机の横だけチョコでぱんぱんになった紙袋がぶら下がってたりしてさ」
「うん。普通に想像できる」
「だろ? 小学生の頃は今より喧嘩っ早かったから、そうでもなかったけど」
「降谷君って、喧嘩っ早かったの?」
あ意外に思って聞き返した。“そうでもなかった”ことよりも、頭がよくて、運動ができて、女の子にモテるくらいでは動じない降谷君が、小学生の頃とはいえ、
「うん。まぁね」
ああっさり肯定した諸伏君は、ふいに目尻を下げると、表情に優しい苦笑を滲ませながら続けた。
「なんていうか
あ穏やかなトーンで話す彼の視線は手元に落ちていたが、私には、彼がここではない、どこか遠くを見ていることがわかった。
「諦めた方が楽で、オレたちが流されちゃうようなことでも、アイツだけは絶対に妥協しない。まぶしいくらい真っ直ぐな、いい奴なんだ」
あ降谷君について語る諸伏君の表情は、当時どちらとも親しくなかった私から見ても特別で、私は、彼らの根底に流れるお互いへの深い信頼を感じざるを得なかった。
「すごく大事な友達なんだね」
あなんだか微笑ましくなってそう言えば、諸伏君はきょとんとした目をこちらに向けたあと、照れくさそうにはにかんだ。
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ひよこまる(プロフ) - 炭酸レモネード。さん» 炭酸レモネード。様、お久しぶりです! 最後までお付き合いいただけたことは勿論ですが、こうして数年ぶりにお話できてすごく嬉しいです(^^) 私自身、一時期はどうなることかと思いましたが、ハッピーエンドを迎えられて安心しております笑 本当に有難うございました! (11月20日 7時) (レス) id: 8ac964ebff (このIDを非表示/違反報告)
炭酸レモネード。(プロフ) - 完結おめでとうございます泣勘違いにドキドキハラハラでしたけどしっかり諸伏の想いが伝えれて良かったです笑お2人ともとても可愛くてニヤニヤが止まりませんでした! (11月20日 3時) (レス) @page39 id: 12db53baf5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまる(プロフ) - 名無しさんさん» 名無しさん様、ご感想ありがとうございます。文章も展開も褒めていただけるなんて、作者冥利に尽きます(^^) 頂いたお言葉を励みに、執筆を頑張りますね! 最近は本当に寒くなってきましたので、名無しさん様も、暖かくしてお過ごしください。 (2022年12月16日 1時) (レス) id: 39d9850ac3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 文章が丁寧で、その上お話の展開にとっても悶えてしまいました。更新お待ちしております。寒くなってきましたので、どうぞご自愛ください。 (2022年12月15日 22時) (レス) @page24 id: be46fe9f9a (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまる(プロフ) - chiさん» ようやく私生活が落ち着いてきたため、隙間時間を見つけて更新したいと考えております。どうかお時間のあるときに、暇つぶし程度でも構いませんので、本作をお読みいただければ幸いです(^^)長文失礼いたしました。 (2022年12月7日 0時) (レス) id: 39d9850ac3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこまる | 作成日時:2019年8月9日 21時