次期妻候補争奪戦【浦島坂田船】

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『あの、志麻さ、離してください』

「は？自分から着いてきたくせに何言っとんの？」

『それは！！』


あんたが手引いて部屋に招いたんでしょ！！！


『ひｯｯ…ちょ、ほん、とに…や、』

「ほんまに足綺麗やなぁ、なんなら髪の毛もショートカットにしょーや」

『ほっ、んとに…離せ!!!!!!』

「ｯｯたぁ…」


足を振り上げるとたまたまとはいえ、志麻さんの腹部に膝が入る

申し訳ない気持ちはあるにしても、とにかくこの部屋から出ないと危ない、そう思ってドアに向かって走る


『……鍵、あかない、なんで』


鍵を回すところがあるはずの場所には鍵穴が

なんで部屋の中にも鍵穴があるの……


「こんなに受け入れてもらえんのは初めてやわ」

『ひっ……』


後ろに手を引かれる

顔が綺麗な分、何を考えているかわからない顔は怖い


『…はなして、やだ、……誰かぁぁぁぁぁぁぁ！』

「っるさ…！」


昔から声は通るだった
叫べば誰かが気づいてくれると思って叫ぶも


「まあここで叫んでも誰も気にせんけどな」

『…は』


どうすれば逃げられる、誰か来てくれる人…

坂田さんの部屋はさっき教えてもらったけど離れすぎてる……


『あ…』


きっとそう意味で言ったんじゃないだろう、けど試してみないと助からない

そう思って、さっきの自己紹介の時の言葉を思い出す





『ｽｩ…………センラさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん！』








［センラって呼んでくれるとすぐ気づくと思うんでよろしくね］




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