色のない世界で、君と 2【めいちゃん】

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少し酔いが回ってきた頃、バーの扉が開いて聞き覚えのある声が耳に入ってきた。



「A〜なんでスマホ見ないの」


「え？連絡したの？」


「うん、打ち合わせ終わったから合流しようって」


「ごめん全然気付かなかった」



なるせとは反対の私の隣の席に座るとカウンターに身を乗り出してなるせを睨む。



「なんだよ」


「手出してないよね？」


「俺をなんだと思ってんだ」


「Aにフラれた人」


「こいつまじで」



拳を握って「あームカつく」と呟くなるせと澄ました顔でお酒を飲むめいちゃん。

そのふたりに挟まれる私。

そこから言い合いというか、じゃれ合いが始まって
私はもう黙ってお酒を飲むしか無かった。



「お前ら、距離近い。ウザイ」


「妬いてんだ」


「あーー、うざ」



さっきからめいちゃんは私の腰に手を回しながら話してる。

うん、やっぱり近いよね。


普通というものが分からなかった私はこれを普通だと思ってた。

いや思おうとしたの方が正しいかな。


付き合って分かったことは
めいちゃんは結構スキンシップが激しいということ。


外では必ず手を握るし、肩を組んでくる時もある。

その度に私は慣れてるなぁと思う。


私は恥ずかしくて自分から手を握れたことがないし、自分からキスなんて夢のまた夢。

「ちょっとくっつきすぎじゃない？」と言ったら「好きな人とはくっついていたいじゃん」と当たり前でしょ？というトーンで返された。




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