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乙女の舞 ページ13








『このジャンプだよ!!高さもあって軸もブレてないし回転スピードもいいし!!』



今日は結弦がオフって言うからどこかでかけたかったけどあいにくの雨で結弦と録画したフィギュアスケート番組を見ています

自分の滑りをまるで他人みたいに褒めるとこなんかすごいなぁ
私なら絶対自分の滑りなんて見たくない



『この時の滑りはすごい楽しかったなぁ』

「結弦はいつも楽しそうじゃん」

『あ、ばれた?』



べっ、と舌を出す結弦
絶対年下でしょ、おかしい…



『Aの滑りも見ようよ』


結弦はそう言うとすくっと立ち上がってテレビの下の引き出しから白いDVDを取り出す
円盤には[A 引退アイスショー]と書かれている


「やだよ!!自分の滑りなんて見たくない…」

『僕はAの滑りも見たいの』

「ほら、もう1回結弦の滑り見よう?」

『もうAの滑り見る気分になった』

「全然意味わかんないです…」



ぎゃあぎゃあ言う私をよそにしれっとDVDをセットする結弦
あぁ…自分の滑りなんて…




<さぁ、いよいよ最後の滑走です!>


テレビから聞こえる実況の声
やめてえええ…



<乙女の舞と言われた空野Aが今日、引退します>

『乙女の舞って本当そのままだよね』

「今更褒めても何も出ません…」

『僕結構本気で今でもそう思うけど』

「恥ずかしいからやめて!」



もう終わるまで部屋に逃げよう…
立ち上がると



『どこ行くの?一緒に見よう?』



こてん、と首をかしげる結弦
あぁ、眩しい…


「…今日だけだからね…」



こういう結弦にはとことん弱い
結弦も分かってやってるから意地悪だ



『やったね』



グイと腕をひかれて結弦の膝の上に座らされる
身長が小さいから膝に座っても私の頭の上に結弦の顔がある




『ほら、乙女の舞を踊る女神様が出てきたよ』

「からかわないでよ…」



ふふって笑いながら結弦が言うから恥ずかしい
恥ずかしいオブ恥ずかしい…

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設定タグ:短編集 , 羽生結弦   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:星羽 | 作成日時:2018年2月20日 0時

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