【シャドウサイド】続章〜1〜妖魔界と鬼族

36☆視線 ページ36

しばらくの間泣いていた二人だったがふとハルヤが顔を上げた。

「そうそう、まだ洞潔にAのことを紹介してなかったな。」

「ああ、てっきり天野ナツメ達の仲間かと思っておりました。
(酒呑童子様が女性を呼び捨てにしている？！)」

「あ、AAです。妖怪は見えるタイプです。」

「私は洞潔、人間のときの名前は島之内巌流です。
あ、A様、なんとお呼びすれば？」

Aは少し考えてから

「やっぱり名字よりAの方でお願いします！」

「じゃあ、A様ですか。」

「様付けじゃなくていいよ！です。」

「えっと・・・。ではAさん？」

気のせいか、洞潔の顔が赤くなっている。

「うーん、もうちょっとその、気さくでいいんですけどね・・・。」

「いや、これ以上は慣れないもので。(なんか酒呑童子様ににらまれている気がするし。)
Aさんこそ、敬語別にいらないですよ(ちょ、視線が怖い怖い怖い！)」

「そうですか？じゃあ、洞潔さんよろしくね！」

そこでふとアヤメが、

「あ、もうかなり遅い時間だし、私帰らなきゃ！また明日ね！」

と腕時計をみて言った。


「ほんとだ！時間全然みてなかった！じゃあ私も。」

ナツメもそういって立ち上がった。

「ほんとだ・・・。じゃあそろそろ僕も帰ります。」

「おう！じゃあまたな！」

「気をつけてな。」

アキノリとおばばが見送ってくれる。

「なら俺達もそろそろ。行くぞ、洞潔。」

「は。」

「じゃあ、またね！」

有星神社を出てしばらくしてから、洞潔はあることに気づいた。

「あれ・・・。酒呑童子様とAさん、途中までご一緒に帰られるんですか？」

「ん？ああ、洞潔にはまだ言ってなかったか。
ちょっとしたことから、俺とAとで暮らしている。」

「どどどっどど同居？！」

「洞潔さんどうかしたの？」

「あのその、もしかしてお二人、つき合ってたり･･･｡するんでしょうか？」

「洞潔！今夜は久しぶりに酒宴するぞっ！」

絶対何かあるな、とつい思ってしまった洞潔であった。

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