高嶺の・・・Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ24)

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60話ページ24

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敵に攻められて後退しているのではなく、自ら進んで後退しているように見える

『マルコ…何か嫌な予感がする』

ﾏﾙｺ「奇遇だねい、おれもだよい…」

「一旦下に降りて」と言おうとした瞬間、氷の下から…正確には海の中から分厚い壁が氷を砕きながら出てきた

ﾏﾙｺ「なんだよい！」

『まさか…！』

はっ、と処刑台の方を見るとセンゴクが電伝虫で誰かに指示を出していた
騒ぎ立てる仲間たちの声に下を向くと、湾内を取り囲むように分厚い壁で広場と湾内を区切られている

処刑台の方に目を向けると、赤犬が座っていた椅子から立ち上がり、腕をマグマに変えた

『まずい…！
マルコ！すぐに下に降りて！』

ﾏﾙｺ「よい！」

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Aが下に降り立った瞬間、赤犬から放たれたマグマが氷で固められていた湾内に流星群のように降ってくる
指示を出しながらとにかくマグマに当たらないように仲間たちを逃がしていくが、海軍の策略なのかまず初めにモビーが炎に呑み込まれた

「おれたちの船が…」

白ひげ(すまねェ…)

『…私たちの家が…』

炎に呑み込まれ海にどんどん沈んでいくモビーを見ながらAは静かに涙を流す

Aにとっては…いや、白ひげ海賊団にとってはモビーは自分たちの〝家〟そのもの。特にAはこの世に生まれてずっとモビーの中で育ってきた。
白ひげという偉大な父に守られながら、もう1つの存在である偉大な母(モビー・ディック号)にも守られていた…。

蘇ってくるのは幼い頃の記憶。
姉弟と戯れた甲板、喧嘩をして破った帆、仲間たちで賑わう食堂……。
何もかもが今の赤犬の一撃で海に帰っていった

ﾏﾙｺ「姉さん！……っ？！」

『』

燃えて原型を無くしていくモビーを見ながら佇んでいるAに今すぐこの場を離れよう。と声を掛けに来たマルコはその姿をみて息を飲んだ
正確には、体が一瞬にして硬直した。なにか言葉を発したが聞き取れないほど小さなもので何を言ったのかはわからない

壁の前では、白ひげの攻撃でも壊れなかった壁と降り注ぐ火山流にどうしたものかと立ち往生している海賊たちがいる
そこに、フラフラと体を揺らしながら近寄っていくAを見た者は皆、マルコと同じように体が硬直した

『』

白ひげ「………！！」

何か言葉を発し、勢いよく蹴り上げた足は大きな破壊音とともに壁にめり込まれ、白ひげでも壊せれなかった壁を破壊した