第八十訓 ページ32
銀時達がここを出てから少し経つ。
それでもミツバさんは目を覚まさない。
『…？』
すると、手術室の中がどうやら騒がしくなる。
声は聞こえないが、医者達は焦っているよう。
まさか…、なんて、最悪の未来が頭に浮かぶ。
『……いやいやいや、何考えてんの私』
だが、その考えをすぐに頭から追い出そうとする。
祈らないと。ミツバさんは大丈夫って。死なないって。
そうやって心の中で呟きながら、前を見る。
…すると、医者と目が合った。
…嫌な予感がするのは、気の所為であってほしい。
・
『…そ、んな……』
ポロリ、涙が頬を伝う。
でも、それを拭う気力はなかった。
.
私と目が合った医者は手術室からこちらに移動し、私に言った。
手を尽くしたこと、もう、ミツバさんは…
助からない、ということ。
もう会えない、そんな事実を叩きつけられ、足が戦慄きその場に座り込む。
どうして。嫌だ。もっと、話したかった。もっと、仲良くなりたかった。
…出会ったばかりなはずなのに、ミツバさんは私の中では思っていたよりずっと、大きな存在となっていた。
大切な人を失くすこの感じ。それはあの日と重なり、体が震える。
すると、多数の大きな足音が静かな病院内に響いてきた。
…沖田くん達が、戻って来たのだ。
「…Aちゃん、どうしたの？」
地面に座り込む私を見て不思議に思ったのだろう、山崎さんが私に話しかけてきた。
…でも、私は何も言えなかった。
山崎さんのアフロを見ても、今じゃ笑うこともできなかった。
そして、医者が皆に説明をする。
すると、皆顔を伏せ、悲しげな表情をした。
沖田くんは、神妙な顔つきで手術室に入った。
ミツバさんと何かを話している。
何を話しているかは聞こえない。
だけど、最後に、私はミツバさんの顔をガラス越しでジッと見つめ、目に焼き付けた。
必死に涙を止めた。
ミツバさんはこっちなんて見ないかもしれないけれど、でも、最後が泣いている顔なんて、嫌だから。
ジッと、ミツバさんを見つめる。
ふと、ミツバさんがこちらを向き、痩せた顔で微笑んだ。
『…ッ』
すると、涙が込み上げてくる。
必死で止めたはずなのに。
…ミツバさんが微笑んでくれたんだから、私も笑い返さないと。
そんな思いで涙を流しながら引きつった笑みを浮かべる私はとても滑稽な顔をしていただろう。
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ニコぱー(プロフ) - そのへんの伊藤さんさん» ありがとうございます！！大変お待たせしてしまいすみませんでした！！これからも更新続けていく予定なので、お待ちいただけると嬉しいです。これからも頑張りますね！応援よろしくです！ (2019年6月11日 20時) (
レス) id: 89c1843be5 (このIDを非表示/違反報告)
ニコぱー(プロフ) - Hi！さん» 大変お待たせしてしまいすみません！！これからも、ノロマながらも更新は続けていく予定なので、気長にお待ちいただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年6月11日 20時) (レス) id: 89c1843be5 (このIDを非表示/違反報告)
そのへんの伊藤さん - 続き気になります!更新頑張ってください！ (2019年5月30日 16時) (レス) id: 82ec169f6c (このIDを非表示/違反報告)
Hi！ - 待ってまーす (2019年5月11日 20時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
ニコぱー(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます！更新頑張りますね！(｀･ω･´)ゞこれからもよろしくお願いします！！ (2019年3月24日 15時) (レス) id: 2e80244575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコぱー | 作成日時：2018年9月15日 21時
