酔った彼氏の本音【鬼滅の刃】【短編集】

伊黒小芭内ー彼シャツ ページ23

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私の彼氏は愛情表現が下手だ

優しくしてくれない彼に不安にもなる。


だから、彼に確かめたいことがあるんだ

私の事、ほんとうに好きかどうか


今日は小芭内が任務から帰ってくる日だ

彼の屋敷で帰りを待ちわびているが、いっこうに現れない



仕方が無いので、途中まで迎えに行ってやるかと外へ出る


薄着で出たのが悪かったのか、外の空気は凍るほど冷たい


はぁーっと白い息を自分の手に吹きかけ、暖を取る

その白い息の奥に、見知った人影が見えた





「小芭内…、じゃない｣
「悪かったな、伊黒じゃなくて」




そこに居たのは風柱こと、不死川実弥だった。



「これ、やるよ」
「これは、小芭内の羽織…、どうして？」

「あいつに後処理任せて先に帰ったんだが、羽織預かってたの忘れててよ」



「それで私に…」
「あいつの屋敷の周辺に投げとこうと思ったが、必要なかったな」




風柱様はそう言うと、私の頭をわしゃわしゃと撫でる




「なっ、なにするんですか」
「どーせこの後あいつと会うんだろ、俺の匂いでもつけといてやるよ」



「何のために？」
「嫌がらせに決まってんだろ」





十分撫で終わると「じゃあな」と手をヒラヒラさせながら去っていった


私は手元にある小芭内の羽織に目を移す




そういえば最近、世間で「かれしゃつ」というものが流行っていると聞いた


この場合は、彼羽織というのだろうか。




誘惑に負けた私は羽織に手を通す

瞬間に肌寒かったのが、ポカポカと温まっていく




「ふふっ、小芭内のいーにおいがする」



道端でこんなことをするのは変態だな、だがこんな貴重な機会は見逃せない





「おい、A」
「ぎくっ」






「俺の羽織を着て何をしている？」
「いや、その、検査だよ検査！破れてないかとか！」



「嘘をつくな」
「はい、匂いを嗅いでました」





私がすぐさま羽織を脱ごうとすると、その手を止められた





「そのままでいい、寒そうだ。」
「ありがとう、」




言葉にトゲがないのはおかしい、何かあったのか

普段ならこんなに優しくしてくれないのに





「小芭内、なにかあった？」
「別に何もない」




顔をじーっとよく見ると、包帯で巻かれている口元のせいで変化が分かりづらかったが


頬が赤く火照っている。


そして、ふと香ってくる酒の匂い






「飲んできたの？」
「…」




無言は肯定と受けとるべきか。






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