5話 ページ7
A視点
ハァハァと息を切らしながら何とか保育園までたどり着く。
_クソッ、もう少し鍛えておけばよかったッ！
おぼつかない足取りで園長室の扉を開く。
「遅れてしまい、申し訳ありません。」
見ると、棘の友達である海斗君のお母さんと、拳を握りしめて俯いている棘がいた。
「ちょっと、あなた何か言いなさいよ！」
事情を聞いてもこの子何にも話してくれないのよ、と僕の肩を揺らす。
私も説明がほしいです、と園長先生。
_呪言の事を、話してしまっていいのだろうか…それに、信じてもらえないかもしれない…。
「あの、取り敢えず何があったのか聞いてもいいですか…？」
海斗君のお母さんはハァ、とため息をつき、椅子に座る。
僕も棘を落ち着かせるため隣に座り、頭を撫でる。
「海斗がね、一人でいた棘くんに一緒に遊ぼうって言ったのよ。けどその子海斗に『黙れ』って言ったのよｯ！」
その後のことは覚えてないけど、気づいたら血を吐いてたって言うの！きっと棘くんが何かしたに違いないわ！！と、叫ぶように言う。
棘はぎゅっとさらに強く拳を握りしめ、下唇を噛む。
_棘が、誰よりも心優しい棘がそんな理由で『黙れ』何て言う訳無いだろッ！
静かに睨みつけるように海斗君のお母さんの方を見た。
まぁまぁ、落ち着いてください、と園長先生がなだめる様に言う。
「海斗君は救急車で運ばれて治療中なのですが、喉の怪我しかしてなくて…」
殴ったりされたのかなと思ったのですが…何だか奇妙で、とこちらの様子を伺っている。
「…すみません、詳しい説明は出来ないです。慰謝料も治療費も、謝罪もするのでどうか許してください。」
できる限り深くお辞儀をし、棘にもそうさせる。
「ハァ？何か知ってるなら話しなさいよ！」
大体あんた達揃いも揃って口元隠たり、二人しかいないのに広い屋敷に住んでたり、色々おかしいと思ってたのよ！
彼女は堰を切ったように喋りだす。
「あなたがたかだか22歳のくせに一人で子供を育ててるからこんな事になるんじゃないの？」
責任の取れない子供が子供を育てるなんて無理よ、と止まる様子もなく愚痴をこぼす。
「すみません」
反論もせずひたすら謝り続ける僕を見て、我慢ならなくなったのか棘が口を開く。
「やッ…！」
すかさず僕が棘の口を塞ぐと、棘は訴えかけるような目で僕を見つめる。
_すまん、今は耐えてくれ。
棘の手をぎゅっと握り、そのまま謝り続けた。
__
海斗さんすみません;;
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません！編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います！わざわざありがとうございます！嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (
レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか？これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか？ (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanox | 作成日時：2021年2月28日 23時
