【呪術廻戦】呪言師せんせーの憂鬱【男主】

21話 ページ24

A視点


棘が帰って来ない…。


僕は棘を甘く見ていたようだ。


猫を飼いたいと言う棘に、家では猫は飼えない、と言うと棘は出て行ってしまった。


強く言い過ぎただろうか…。


どうせ何時もみたいに公園行ったら直ぐに帰ってくるだろうと思い、棘のことを追いかけなかったのだ。


__もう3時間だぞ……！



僕は父親失格だな。

いや、


__『おかか！こんぶいくらめんたいこ！』



元から父親なんて思われてなかったか。




だが、今はそんな事どうでもいい。



__無事でいてくれ…！棘ｯ……！


僕が父親代わりになってから何度そう思ったか。



僕の数少ない知り合いに片っ端から電話を掛ける。


夜蛾先生、五条君、夏油君、家入さん、庵さん、冥冥さん、その他先生方……


しかし、みんな口を揃えて見ていないと言う。



居ても立っても居られなくて、僕は家を飛び出した。



棘と何時も行く公園。

棘はこんな時いつもブランコにいたな。



この間初めて自転車に乗れた道。

補助輪なしで、夕方まで練習して、やっと乗れた時は自分の事のように嬉しかった。



一緒に買い物に行く商店街。

今は手をつないで帰るが、昔はベビーカーだったっけ。



……何処にもいない。


この辺を走り回ったが見つからず、途方に暮れて、もう警察に連絡するしかないか…と携帯を見る。


__不在着信…？


焦りすぎていて気づかなかったが、何度も電話があった事に気づいた。


慌てて電話を掛けようとすると、また電話がかかってきた。



「も、もしもし」

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