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逆襲 ページ38

さぁ、コレをどうするか。
僕は椅子へ戻り、腰を下ろして人形を摘み上げた。

僕はいらないし、結構傷んでるからなぁ……ユウミさんにもあげられない。
とりあえずくずかご行きかな。

全く、驚かせられたなぁ……
お腹痛いんだから勘弁して欲しいよ……。

そして、僕は人形を側にあるくずかごに入れようとした。

ところが……
人形の手が、僕の服を掴んで離れなかったのだ。

それだけじゃない。
人形はみるみるうちに鬼のような形相になり、牙を剥き出して「シャァァァァァァア……!!」と僕に威嚇した。

僕は腕をブンブンふって人形を振り落としたものの、その勢いで椅子ごと後ろにひっくり返ってしまった。
ダブルの衝撃に見舞われてなかなか立てないでいる僕に、人形は指から鋭い爪を出して、ゆっくり近づいてくる。

「ウワァァァァァァァァ!!!」

僕は堪えきれずに悲鳴を上げた。
そして、お腹の中身を思い切りくずかごに吐いてしまった。

「リーハさん!!どうなさったの?!」
途端に3号室の扉が開いた。
入って来たのはユウミさんだった。
「まぁ!!大丈夫ですか?!」
「に、人形が、人形が……!」
僕は慌ててティッシュで口を押さえ、くずかごの上で咳こみながら人形を指差した。

しかし、僕の指さす先を見たユウミさんはキョトンとした。
「人形……?リーハさん、何もありませんよ……?」
「えっ、そ、そんな筈は……」
僕はくずかごから顔を上げ、そして仰天した。
人形は影も形もなかった。さっきまで、確かにそこにいたのに!

「リーハさんは夢を見られていたのでは……?」
断じて夢じゃないけれど、説明のしようが無かった。人形がここにいなきゃ信じてもらえる筈がない。

「環境が大きく変わると、変な夢を見たり、体調がおかしくなったりしますよね……。
私、お水やお薬を持って来ます!くずかごも片付けますので、リーハさんは休んでいてくださいね?」
何も言えないでいる僕に、ユウミさんは気の毒そうな声でそう言って3号室から出て行った。
その階段を降りて行く微かな足音を聞いている内に、放心していた僕はハッと我に返った。

ちょっと待って……もしかして、僕は一番見られたくない所を一番見られたくない人に見られてしまったのでは?

ど、どうしよう!!
床にひっくり返って悲鳴を上げたのは格好悪過ぎるし、ユウミさんの心が籠ったご飯を全部吐いたのは最低過ぎる……!!




終わった…………。


僕は目の前が真っ暗になった。

ぐるぐる→←後ろの正面だぁれ?



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設定タグ:冒険 , 殺し屋 , 恋愛   
作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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シャーロック - 木の葉月さん» うん、お休み〜また明日ね! (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
木の葉月(プロフ) - シャーロックさん» 全然美人じゃ無いっすよ。ちょっと風呂入って来るんで、また明日話そ。 (2021年4月7日 23時) (レス) id: ac1426199a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック - 木の葉月さん» うわ、結構時間掛かるのね。コノハヅキはびじんだろーな〜 (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
木の葉月(プロフ) - シャーロックさん» へへっ!30分前くらいに帰ってきたで (2021年4月7日 23時) (レス) id: ac1426199a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック - 木の葉月さん» おお、お疲れ様〜! (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木の葉月&シャーロック x他2人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sherlock_rio?s=21  
作成日時:2020年10月3日 18時

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