【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS (ページ35)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:23,357 hit

二つの影ページ35

僕は重い体を動かして窓辺へ走った。

なんで！？
なんで二人共飛び降りたんだよ？！
相当な高さがあるのに……！

僕は目の前が真っ暗になる思いだった。

リーオックさんとコノハヅキさん……絶対大怪我してるに決まってる……！ああ、もしかしたら、もしかしたら……怪我じゃ済まなくて………

最悪の状況がありありと頭に浮かんで来てしまう。
そんなの嫌だよっ！！

ユウミさんが後ろで、不思議そうに「何かあったのかしら？」と首を捻っているような気配はしていたけど、僕は振り返らなかった。

窓にたどり着くと、すぐに僕は傍にある花瓶を手で押さえながら、外に頭を突き出した。

………アレ？

途端に僕は拍子抜けした。

窓の下には、二人の姿はおろか、猫っ子一匹もいやしない。
ただ明るいサンクチュアリの庭に、ユウミさんの育てている花々や木々が、優しい風に揺れているばかり。

何事も無かったのだから、喜ぶべきなのだろうが……。
しばらく僕は呆気にとられてぼーっとしていた。

それじゃあ、二人はどこに行ったんだろう。
どこかの空き地や路地裏で、さっきの戦いの続きでもやっているのだろうか……。

まぁ、良いか。
僕はこれでやっと部屋に入れるし……。

幾分かホッとして、僕が窓から離れかけた時。
外で微かに「トン、タン、トン」という音がした。
それが妙に近くから聞こえるので、僕は気になり、また窓から顔を突き出した。

うーん……。
別に何にも無いよなぁ。

下の風景はさっきと何も変わっていない。
なのに、まだ近くから「トン、タン」という音が聞こえて来る。

……まさか。
嫌な予感がして、僕は首を回して上を見た。

すると。
屋根の上で、二つの影が踊っているのがチラリと見えてしまった。

し、下じゃなくて上に行ったの？！
どうやって？！

あまりにもな展開に、全身から一気に力が抜けた。
……二人にかかる重力って、どうなってんの？

もう嫌だ。
なんで僕は二人の心配なんてしたんだろう。

ああもう……！
振り回されてばっかりだなぁ！！

ユウミさんの出現と、二人が飛び降りた事の衝撃によって、少し収まっていたお腹の痛みまでもが、僕を嘲笑うかのようにジワジワと猛威を取り戻している。

ユウミさんが「あら、リーハさん……。どうなさったの？大丈夫ですか？」と心配そうに声をかけてくれたけど……。

振り返った僕には「花束とユウミさん」という素敵な組み合わせを堪能する余裕もなかった。