シャーロックさんの推理2 ページ15
「シャーロックさん、おじいちゃんが残してくれたお金のことは……?」
「高校を出たばかりの若者が、親の助けも無しに一人暮らしをするのは大変だ。しかしそれを、お前さんはあっさりと叶えている。国の補償に頼っているのではないということは、計画もなしに越して来たことからわかる。そういう申請が通るのには、時間がかかるからな。
という事は、お前さんには自由になる金があるという事だ。年齢からして、遺産相続と考えるのが妥当だな。では、誰の遺産か?
それは、お前さんの机にあった万年筆から推理した。あれは若者にはにつかわないブランド物。
一本一本に名前がある奴だ。
何かの記念にもらった事は一目瞭然。
彫られている年月日からして、お前さんの高校入学のはなむけだったのだろう。
しかし、一度の受験の失敗で『家に帰って来い』という親が、名のある万年筆を贈ってまで息子を激励するかどうか。
祖父か祖母の贈り物、という方が納得出来る。
重厚感あるデザインからしてそれを贈ったのは祖父と考えるのが妥当だろう。
さて、その万年筆は俺も使った事があるから名前が「約束」だという事を知っている。
お前さんが将来医者になる事が約束だからこそ、おじいちゃんはその為の資金を残した、そういう事だろう。」
シャーロックさんは、「証明終わり」と言うように両手を広げた。
僕は思わず拍手した。
シャーロックさんはちょっと嬉しそうだった。
人懐っこそうな栗色の瞳がきらきらとしていた。
「ま、これは俺の職業だからな。当然の事だ。じゃ、荷物の整理がまだだから俺はこれで失礼するよ。」
はい!じゃあ、またランチの時に〜
なんて言いかけて僕は、もう一つ大事な事を聞き忘れていたのに気づいた。
「シャーロックさん!待ってください!あの、僕、さっきの大きな音は一体何だったのかも聞きたかったのですけど……」
「音?あ、あれか…。」
シャーロックさんは気まずそうな笑いを浮かべながら目を逸らした。
「あれは、ちょっと壁に穴が開いた音だ。あー……事故で。」
えっ??ちょっと壁に穴ぁ?!
「あの、えっと…。」
僕が二の句を告げずにいると、シャーロックさんは困った顔をした。
「必ず弁償はするけどな、取り敢えず大家さんには内緒にしていてくれ。1号室の奴が何者なのか知りたくてつい……いや、こっちの話だ。じゃ、また後でな。」
何事かを言いかけて、シャーロックさんは2号室の中へ消えた。
リーフさんがどうしたって言うんだろう?
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シャーロック - 木の葉月さん» うん、お休み〜また明日ね! (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
木の葉月(プロフ) - シャーロックさん» 全然美人じゃ無いっすよ。ちょっと風呂入って来るんで、また明日話そ。 (2021年4月7日 23時) (レス) id: ac1426199a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック - 木の葉月さん» うわ、結構時間掛かるのね。コノハヅキはびじんだろーな〜 (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
木の葉月(プロフ) - シャーロックさん» へへっ!30分前くらいに帰ってきたで (2021年4月7日 23時) (レス) id: ac1426199a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック - 木の葉月さん» おお、お疲れ様〜! (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木の葉月&シャーロック x他2人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sherlock_rio?s=21
作成日時:2020年10月3日 18時