【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS (ページ14)

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シャーロックさんの推理ページ14

「緊急時の脱出経路の確認も兼ねて、壁をよじ登り窓から入ったからな。そのついでにお前さんの部屋も見た。」
いや、今なんて言った？
ここ三階だよ？！
真面目な顔して言ってるけど…
この人、すごい変な人だ。

僕は若干引いていたけど、シャーロックさんは気にしていないようだった。
「疑問は解決したようだな。よし、じゃあまたランチの時に会おう。」
さっと身を翻していなくなろうとするのを、僕は引き止めた。だって、初対面なのにシャーロックさんが僕の事をなんで分かったのかがまだ分からない！！

「あ……待ってください！！あの、どうして僕が医大の受験に落ちたと分かったのですか？」
僕の言葉に、シャーロックさんは振り返った。

「……お前さんの部屋のハンガーに掛かっている制服、鞄に付いた紋章からどこの学校に通っていたのかがわかる。その学校は全寮制で、また他校よりも多くの医学生を輩出している事で有名な所だ。その上、机に積んであった参考書の傾向からも、お前さんが医者を目指している事は一目瞭然だった。

しかし、望みの大学に合格しているなら、寮から引っ越したのにいつまでも高校の制服や紋章を持ち歩いている筈がない。よって、お前さんは浪人だろうと推理した。」

うわーー
開いた口が塞がらないとはこの事だ。

「あの！じゃあ、どうして僕が『家に帰れ』と言われたのに帰らなかった事が分かったのですか？」

「お前さんが今着ている服は、手首や首周りが所々擦り切れているな。小さな穴が開いている部分もある。普段からよく着ているんだろう？」
「あ、はい。これはなんか動きやすいのでよく着ています。」
シャーロックさんの言葉に自分の服を改めて見ると、なるほど……。結構くたびれている。

「家族がお前さんの一人暮らしを認めているなら、引っ越しを機に服を買い替えたり、生活に必要な荷物を送る位のことはするだろう。
お前さんの家は、通っていた高校の費用から見ても裕福な方だし、その手の服はどこにでもある代物だからな。いや、その前に留年したって良い筈だ。

ところが、お前さんの部屋には荷物が殆ど無いし、留年もせず、卒業してすぐにサンクチュアリへ越してきた事から考えるに『受験に落ちたなら帰って家の手伝いをしてくれ』とでも親に言われたのだろう。

今の環境を離れると医大から遠ざかるという恐怖感から、突然の引っ越しに踏み切ったという事がよくわかる。」

「お、恐れ入りました……。」
僕は舌を巻いた。