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裕翔side



入学式の日は天気にも恵まれ問題なく終わった。

涼介は、少し緊張している様子だったがとくに異常なし。


問題があったのは俺のほうで……。


新任教師の自己紹介の時、

「クラスのみんなと仲良くしたいです。」

なんて言ってしまった。

……クラスの担任でも副担任でもないのに。

すぐに校長先生が訂正して、恥ずかしかったな……。



入学式は何も起こらなかった。

入学式『は』……。





「では、自己紹介をしようか。」


俺は見学に来た先生として涼介の元へ行った。

『自己紹介』は最初の印象を決めるものだからか、俺にまで緊張が伝わってきていた。

まあ、入学式の次の日だから無理もないか……。


「じゃあ、僕の自己紹介を簡単に…………」

みんな何を言おうか考えを張り巡らせていて、きっと櫻井先生の自己紹介は耳に入っていないだろうな。


突然、おかしい呼吸音が聞こえてきた。


「ハァハァ……」

涼介?

周りの子も少しザワザワしだした。

侑李くんは心配そうに涼介を見て、助けろとでも言うようにこちらを睨みつけてきた。



俺よりも先に櫻井先生が動いた。

「涼介くん、落ち着こうか?大丈夫だよ〜?」

「ハァハァ……フゥ……」

「涼介、ゆっくり息を吸おうか。」


俺が涼介の元へ行くと、すぐに涼介は落ち着きを取り戻した。


「き………こ…い……。」

「ん?」


「緊張……怖い……。」


あぁ……

もっとちゃんとしておけば良かった……

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作者名:赤兎 | 作成日時:2019年10月13日 23時

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