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私の手を引いてはどんどん走る浮所くん。
足がもたれないように必死に足の回転を速める。
いつも私の方が運動してますって感じで話してるのに
浮所くんの方が走るの早くて驚く。
そして周りからの歓声が気になって気になって、
浮所くんはこんなの日常茶飯事なんだろうけど。
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『もうすこし!』
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爽やかな笑顔で走りながら颯爽と
振り返って私を見て、そう言った。
無邪気で子供っ気のある可愛い笑顔にドキッとして
スローモーションのように思えた。
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ゴールテープを目の前に私を引く手を緩めて
一緒にゴールする。
それと同時にパーンッと鳴るピストルの音。
グラウンド中の視線が集まったような気がして少しソワソワする。
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(さーて、学校1のイケメンを連れたあなたのお題はなんですか!)
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借物競争担当の生徒にマイク越しで質問される。
男子生徒に声をかける際、緊張してくしゃくしゃになった紙を
震える手で広げる。
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「他色チームの男子生徒、です」
(おぉー!合格!OKです!!)
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震える声をマイクに通した。
無事にクリアと言う事で、私は無事に貢献できた。
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「あ、浮所くん」
『ん?』
「あ、ありがと、う」
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私のチームに加点されたのに同じように彼も喜んでいた。
声をかけると眉を上にあげて優しく微笑む彼。
そんな動作ですらドキドキしているのはきっとたくさん走ったから。
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『ねぇ、他の男に声かけようとしてたよね?』
「え?あー…うん」
『どうして俺にかけなかったの?』
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ゴールし終わってお互いのチーム場へ戻るとき。
浮所くんから変なことを聞かれた。
…変な事というか、どうしてそんな事聞いてくるんだろう事。
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「どうしてって浮所くん借りたい人たくさんいたから」
『ふーん』
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聞いておいて不貞腐れたような返事。
ふーん、と目を細めて私の顔を覗き込むように
グッと顔を近づけて。
そんな表情に私の顔も歪む。
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「ふーんってなんですか!」
『やだ』
「え?」
『暁が他の男に声かけるとかやだ』
「……やだ?」
『だーかーら!』
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”妬いたって事”
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や、やきもち…!?う、浮所くんが私に?
しかも、やだって…なんだか小さい子が駄々こねるみたいで
少し可愛い。
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『あ、今かわいいとか思ったでしょ?』
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真美ちゃんじゃないけど、ほんと浮所くんってエスパー?!
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時