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「あ、ありがと」
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差し出されたシャーペンを受け取ろうとした時
浮所くんの手がひょいと上に上がる。
そのせいで私が受け取ろうとした手は空振り。
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「え?」
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驚いて浮所くんの顔を見ると
じぃっと私を見つめていた。
なになになになに。
は、早くこの場所から去りたい。
みんな、みんな見てる。
もうこんなの公開処刑だ。
私みたいなモブキャラAは浮所くんと一緒にいてはいけない。
そんなの私が1番分かっているのに。
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『ねえ、連絡先おしえてよ』
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同時にざわつく教室。
浮所くんに続いて教室に入ってきた那須くん。
”うぃーっす”なんて真美ちゃんに挨拶して
なにやらめんどくさそうに後頭部を触っていたけれど
態度とは反対に微笑んでいた。
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「あー…携帯持って無くて」
『は?』
「あ、えっと……」
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いつも浮所くんの前でスマホをいじっているのに
こんな時に嘘ついたって意味ないのに〜〜〜
咄嗟の嘘もすぐ見抜かれて、鋭い目で睨まれる。
交換するべきなのか、しないべきなのか。
教えるのは別にいいんだけど
場所をもっと考えてほしかった。
ていうか、火曜日か木曜日じゃだめだった?!
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『ココで断る方が目付けられるよ』
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なにかを企んでいるように。
まるでわざとそうしたかのように。
彼は私に小声で話す。
私が回りに注目されるのが嫌なのを知っていて
そうしたのかと思えばとても意地悪だ。
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『ん、スマホ出して』
「は、い」
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そしてコテン、と首を傾げて手を出す。
その際、手に置いてあったシャーペンを受け取り
代わりにスマホを渡す。
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『ロックかけろし、』
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ボソっとそんなことを言ってはスマホを操作し
返されるスマホ。
画面を見ると”浮所飛貴”と書かれた連絡先。
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『なにかあったら連絡して』
「じゃーね!」
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一言そう言って教室を後にする彼。
シン、となっていた教室も
いつもの教室に戻って。
私だけが事の理解に追い付いていなかった。
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「なになに!A、浮所と知り合い?!」
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一部始終を見ていたのか、
なあくんがかけつけてくる。
きっとみんながそう思っているだろう
私が普段関わる事なんて絶対にない人。
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「なわけ。急に来られてビックリしたよね?」
「う、うん。ほんとに。」
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さりげない真美ちゃんのフォロー。頷く私。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時