13 ページ13
.
.
.
学校の最寄り駅から私の家まで。
今日もお気に入りのアイドルソングを聞いて帰る。
時々、たまに。
好きだった人の事を思い出す。
何かの本で友達から始まる恋は叶わないって見た。
でもきっと私が彼のことを1番に想っていたし
近くで見てた。彼の太い眉も、大きな目も、白い肌も。全部。
変な駆け引きなんてしなきゅ良かったな。
.
.
.
『おい』
.
.
.
はあ。なんで……なんだろ。
どうして私があの頃を思い出すと会ってしまうのかな。
.
「あっ、」
『中、入れて』
.
帰宅すると家の前に浮所くんが待っていた。
どのくらい待っていたのか。
背中を壁にもたれかけてスマホをいじっていた。
それだけで絵になっちゃうから不思議。
.
「あ、はいっ、すみません」
.
慌てて玄関のドアをあける。
そして浮所くんを中に入るよう促す。
彼はよく人と目を合わせる人だ。
私の目をじぃっと見て
”おじゃまします”と言って入った。
.
「ただいまー!」
『今日お料理教室だよ』
「えっ?あ、そっか。」
.
お母さんは火曜日と木曜日にお料理教室へ行く。
きっと浮所くんのお母さんもそう。
………え、てことは?
.
「あの、もしかして火曜日と木曜日に?」
『よく分かってんじゃん、勉強もすぐ覚えられそうだな』
.
嫌味っぽく鼻で笑った浮所くんは家に上がった。
.
「あの、教科書とかもってくるので待っててください」
『リビングでやるの?』
「あ、え、と……」
.
てっきりリビングでやると思ってた。
こういうのって私の部屋でやるものなの!?
まって今日慌ててたから、部屋散らかってるかも…
.
『上?』
.
あーだこーだ考えているとそれを止めるかのように
浮所くんは言った。
咄嗟に”はいっ”と言ってしまい、
彼は2階へ上がった。
.
「上がってすぐの部屋です!」
.
追いかけるように私も階段を上がり、
ガチャりと部屋のドアを開ける浮所くん。
まるで自分の家かのように自然に入るから
私の家だよね?ってちょっと考えてしまう。
.
続いて私も部屋に入り、扉がガチャリと閉めらたと同時に
扉が背中に。目の前には浮所くん。
.
.
「へ?」
.
思わず拍子抜けした声が出る。
これって、いわゆる壁ドンっていうやつ!?
.
.
『お前、隙ありすぎ。』
.
.
.
331人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時