11 ページ11
.
.
.
見慣れた場所に見慣れない人。
私がよく知っている場所なのに 、
彼がいるだけで彼に支配されているようだ。
私の前に立つ彼は私が思ってる以上に
高身長で圧倒された。
.
『ねぇ、俺になんか言うことない？』
.
今日のあの時と同じ、頭上から声がした。
見上げると私をジィっと見つめていて、
目を合わせてしまったら心の奥まで見透かされそうで
怖くなって目を逸らした。
.
「あり、ます」
.
��ブレザーありがとうございました��
.
『ちがう 、それじゃない』
.
逸らしても、その視界に入ってくるように
私の顔を覗き込む。
きっと彼にとっては無意識な事なんだろうけど
私にとってはそれが貴重で、
私と向き合ってくれるような気がして少し嬉しい。
けど 、恥ずかしい。
.
『自分で返しに来なかったよね？』
.
なんだそのこと。
��可愛い子が声かけてくれて��
こんな学校に美女がいたなんて。
返しておくと言われた事を伝えると
何かを思い出したように��あー��と言った。
すると 、浮所くんはブレザーを脱いで
私に差し出す。
.
「ん？」
『はい、』
「え？」
『貸りたんだから、自分で返さないとだよね？』
.
差し出されたブレザーを咄嗟に受け取り、
いや、受け取ってしまったから
浮所くんに引っかかってしまった…。
.
「あ、ありがとうございました」
『目、見て』
.
ドキドキ…
.
「あ、…あ、ありがとうございました」
『俺の名前、読んでよ』
.
��ねぇ��
.
彼の言葉はまるでチョコレート。いやクスリだろうか。
甘い甘い彼の声に、どろどろ溶けていく。
.
「う、きしょくん…ありがとうございました。」
.
目を見て。
彼のキレ長い目を見て。
吸い込まれないように。見透かされないように。
右目と左目、交互に見て。
目が泳がないように。
.
どうか、このドキドキが伝わりませんように。
.
『ふは、どーいたしまして』
.
ふわっと笑って私と目線を合わせるようにかがんだ。
そして彼の右手が上に上がって。
……っ、、
反射的に目を瞑った。
手を出された経験は無いけど、なんだかそんな気がして。
意図的に男の子とは関わらないようにしてたから
関わり方を忘れちゃったな。
.
『ふっ、ばーか』
.
言葉とは裏腹に優しい顔をしていた。
.
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 328人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます！励みになります、うれしいです！！！ (4月10日 11時) (
レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました！続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiro.
| 作成日時：2024年2月26日 22時
