二十九話 ページ33
うっ……とてつもない吐き気が。
｢運動不足ってこういう事なのかな、しかもいつの間にか双子がいなくなってるし｣
軽音部から飛び出した私たちは、一緒に校内を駆け回り転校生を探した。
だが、気づけば一人ぼっち。
途中から双子と距離が出てきたなと思ってはいたが、まさか逸れるとは思わなかった。
流石、アイドルの卵。いや現役アイドルといっても良いのかもしれないけど、とにかく特にやることも無くただ授業を受けて家に帰るだけの私とは大違いだ。
毎日身体を鍛えてる男子とは、相当の体力の差が出来てしまう。
無念。
としか言い様がない。
｢はあ……｣
｢溜息を吐くと、幸せが逃げてしまいますよ｣
肩を落とし、比較的小さく吐き出した溜息だったが、聞き覚えのある声の主に拾われた。
背後からの声に驚愕した私は、慌てて後ろを振り返った。
相変わらずの不自然な仮面を付けている先輩。
とりあえず面倒くさい見た目をしていた為、入学当初から近寄らないでおこうと思っていたのに、まさかこんな所でマンツーマンになるとは。
｢Amazing！今日も宇宙に愛の囁きを……☆あなたの日々樹渉です｣
｢ど、どうも……｣
｢おやあ？随分と険しい表情をするのですね…？そんなあなたに、素敵なプレゼントを贈りましょう…☆｣
右手を差し出される。
スリー、ツー、ワン……と声を出せば、その右手の中には一輪の薔薇。
お得意の手品で私を喜ばせようとしたのか、ただのお巫山戯に付き合わされてるのか、はたまたなんとな〜くこんな事をしたかったのか。
何にせよ、この人に捕まったら面倒くさい事には変わらない。
さっさと出された花を受け取り、軽音部の部室へといこうと思い、その薔薇の茎に手を伸ばした。
｢痛っ……！｣
｢おおっと、これは失礼。贈り物が故、人を傷付けてしまうとは…大丈夫ですか、夢乃Aくん。｣
不運にも薔薇の棘に指が当たり、血は出ていないものの軽い擦り傷のような痕が残る。
その手を日々樹先輩が、そっと包み込む様に握り締める。
今にも血が滲み出そうな人差し指を軽く撫で、私の目をじっと見つめてきた。
｢There is a thorn in the beautiful rose……｣
｢……は、はあ？｣
｢そういう言葉をご存知ですか、A？｣
｢…綺麗な薔薇には棘がある……ですよね｣
｢その通りです。｣
日々樹先輩の口元を緩めるのと同時に、仮面の奥に秘めた瞳が、キラリと輝いたのは気のせいではなさそうだ。
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斉賀(プロフ) - 作品とっても面白いです！朔間さんカッコいい応援しています。 (2018年9月23日 23時) (
レス) id: cc12e08766 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夢花さんコメントありがとうございます。そしてすみませんでした；；あながちと読むんですが、どうやら変換ミスをしてたようです；すみませんでした！反省の意を込めて一度棺桶に入ろうとおもいます！ (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夜月さん» 夜月さんコメントありがとうございます！とても嬉しいです＾＾そして、ダイヤがない時は魔法のカードに頼るのがよいのでは？（笑）← (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - うん…まあ確かに人が棺桶から出てくるのはシュールだね……ww想像したら笑えてくるなコレw (2018年9月22日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 作者さんに質問です。十二話の「間違ってはいない」の前の文字はなんと読むのでしょうか…コピペして調べてみたのですが、その後に「間違っては」とついても違和感のない読み方が分からなかったのと、このスマホではこの漢字が認識されませんでした。 (2018年9月22日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：丸 | 作成日時：2018年9月15日 2時
