ミラー・ツインズは仲良しなんです

2 ページ38

…宏光に会うまでは。



初めは幼心に感じた一目惚れだった。
それから宏光と同じ時間を過ごす内に、宏光はたくさんの新しい感情を俺に与えてくれた。



優しくしたいという気持ち…
笑わせたい、泣かせたくないという思い…
自分だけのものにしたい、自分だけを見てほしいという独占欲や嫉妬心…
何があっても信じられるという無条件の愛情…



全て、宏光が身を以て教えてくれたんだ…。



「勇吾…、んふふ」



この世界には溢れるほどの人間が存在していて、宏光に相応しい人間はきっと他にたくさんいるはずで…
それこそ身近で言えば圭吾の方がずっと優しくて穏やかなのに、宏光は俺を選んでくれた。

こんな俺の事を、ずっと一途に…



「ん？」



どうしたのって目を細めて俺の頬を優しく包んでくれる。
そのまま俺の目を真っ直ぐに見つめ悪戯っ子が浮かべる笑みで俺の髪をわしゃわしゃとかき混ぜた。



「……」
「ふふ、ごめんごめん。
あんまりかわいい顔してるから、つい」



搔き乱した髪を今度は少しずつ丁寧な手つきで梳いてくれる。
何が楽しいのかニコニコと笑みを浮かべて、時折大事なものに触れるみたいに優しく…頭を撫でている。

同じようにややぎこちなく頭に触れゆっくりと手のひらを下に滑らすように撫で始めると、穏やかに目を細めうっとりと閉じられる。
赤い唇にやけに目を奪われて、惹きつけられるように自らの唇を重ねた。



「…宏光」
「うん？」
「今夜は、ここで寝ろ」
「んふふ…戻れって言われてもやだって言ってた」
「……」
「わっ…」



ぎゅうっとしがみ付くように抱きしめると、背中をポンポンと宥めるように撫でられて、今度は同じ力で強く抱きしめられた。

そして今夜も、宏光の優しさに包まれる。






.

奇跡が産まれた日→←優しさ毛布

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す