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ふにっと軽く押し当てて、形をなぞるように丁寧に触れると、その唇が震えて躊躇うように動いた。



「ぁ…」
「うん?」
「…っ……そこ…は……触られてない…」
「そっか、良かった」
「っ…ん…、……ぁ…何で…」



いつまでも指を退かさない俺に涙の膜を張った瞳がどうしてと訴えている。

ごめんと謝ると北山は戸惑いながら、え…と呟いた。
それから更に距離を詰めると、北山の目が僅かに見開く。

嫌ならば突っ撥ねればいいと焦ったく感じるほどゆっくりと顔を近づけた。
もう目の前の唇にしか目が行かず、触れる気満々で顔を傾ける。



微動だにしない北山に目を合わせると、北山は分かりやすく頬を真っ赤に染め上げていた。



「……良いの?このままだと…くっ付いちゃうけど」
「……っ」
「抵抗しないの…、応えって受け止めて良いよな」
「ぁ…っ…」



もう遅い、逃げられるだけの時間は充分に与えたつもりだ。

目を閉じて唇にそっと口付けると、北山の肩が僅かに強張り…すぐに弛緩して背中に腕が回された。
触れるだけのキスを二回…三回…、嫌がる素振りは見られない。

後頭部に手を添え髪を撫でながら至近距離で見つめると、熱の篭った瞳とかち合い更に深く口付けた。



「…っ…んっ」
「……北山…」
「ぁっ…なんで…っ」
「…ん?」
「何で…キス…するの…?」



そう言った唇は既に答えを知っているくせに、試すように瞳を揺らして…期待するように密着したまま離れない。



口にするには酷く憚られる。

だって、想いを自覚したところで…例え北山の気持ちが俺と同じものであったとして…、その先の未来なんて存在しない。



この手を取ったらいけない。



俺らの住む国はとても閉鎖的で、まだまだ偏見と堅い常識に雁字搦めな小さな島国…。

況してや俺らの職業はアイドルだ。
たくさんの人たちに夢を与える仕事をしている俺たちが…応援してくれている人たちを裏切る訳にはいかない。



でも…それでも、今だけは…



「Is there a reason other than I like you?」
「っ…!」



誰の目も気にする必要がない、今だけは…
芽生えたばかりの素直な気持ちを、目の前の男に伝えても許してくれるだろうか──…

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絢音(プロフ) - ゆうりんさん» ゆうりんさん、こんにちは♪海外での開放的なシチュエーションに心も大胆になり芽生えた本音と向き合うことができました(^^)北山さん…可愛いんです♪これからどんなかわいいみっくんが見れるのか…太輔さんが羨ましいですね! (2019年5月11日 13時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪ふふ、結ばれない系のハッピーエンドで考えていたんですけどもね、書いてるうちにみっくんがどんどん可愛くなってきて、ちゅーが忘れられないなんて可愛い事を言わせてみましたよ(*゚▽゚*)一日だけの恋…、こんな意味なら幸せですね! (2019年5月11日 13時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!あのまま何事もなかったようにいつもの2人になるかも思いきや(≧∇≦)北山さんからのアピ!可愛すぎる!!ここから始まる関係も気になるところですね。海外での開放的な気分も味わえて楽しかったぁ〜。ありがとうございました (2019年5月9日 0時) (レス) id: 94839fccd9 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - のなんとも可愛くそして強い告白にふにゃぁぁと顔がほころびました・・この告白・・すっごく良いですね・・幸せ・・そして「一日だけ」はソコにかかるんですね(*ノωノ)とっても素敵なラストにわぁぁ・・わぁぁ…とヒシヒシ癒されています・・ (2019年5月8日 23時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 絢音さんんん(≧▽≦)完結おめでとうございます。昨日まではこれはもしや結ばれない系のハッピーエンドかも(´;ω;`)ウッ…と思い・・そ・・そんなぁぁ・・と項垂れていましたし本日読み進めるも途中までやっぱり・・ともぅ諦めかけていた時に!!!パラリラ〜♪みっくん (2019年5月8日 23時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絢音 | 作成日時:2019年5月1日 11時

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