Tresure box 〜北藤〜

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sideKi




〜つられて呼んじゃったver〜




『二番はほぼほぼ確定な感じなんですね？なんとなくみっ…』




不自然に途切れた音の先は、何を言おうとしていた？



楽屋に戻るのは俺が最後だったらしくもう全員が各々自由に過ごしていた。
みつお疲れーという声に同じように返しながら目当ての人物を探す。



「…ふっ」



定位置の場所じゃなくて、珍しく中央に置いてあるソファーの端っこで体育座りをして小っちゃくなっていた。
無言で近付いて隣に座ると隣の肩がビクッと跳ねた。



「お疲れ」
「っ…、おつかれさま」



ボソッと呟いて顔を埋めてしまう。
角度的にどんな顔をしているか見れないけど、髪の隙間に見えた耳は薄らと赤く染まっている。



「……ごめん」
「ん？」
「…さっき、名前…」
「あぁ」
「…っ…玉と宮に、つられただけだから」
「別に謝ることじゃなくね？」
「……」



お前はみつって呼ぶなと、一度も言った事がない。
一番一緒にいた時間が長いのに、こいつだけは頑なに北山と呼び続けている。
その呼び方が一番しっくり来るんだろうなと思っていたけれど、今の反応を見るにそういう訳でもないのかもしれない。

呼び方なんて、自由にすればいいのに。



「もう…またSNS荒れるじゃん」
「んな大げさな。それにほら、あれだぞ、普通に使われるかもまだ分かんねぇし」
「あんなのキスドキスタッフが使わないと思う？」
「あー…そりゃ確かに」
「はぁぁ…」



極限まで落ち込もうとしている藤ヶ谷を見て不思議に思う。



「…なぁ、お前なんでそんな落ち込んでんだ？」
「……言いたくない」
「なんで？俺に関してなら聞きたいんだけど」
「…っ」



藤ヶ谷は顔を上げて俺を睨んだ。
でも何故だろう、いつもみたいな迫力は無くて、目尻がほんの少し赤くなっていてなんだかちょっとかわいくも見えてしまう。

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