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やがて北山の手が伸びて、涙でびしょびしょに濡れている俺の頬を拭った。



「…どうした、藤ヶ谷」
「っ…」



怒られるって思った。
何考えてんだって、早く出て行けって言われるかと思った。
きっと実際は怒っているんだろうけど、こんな奇怪な行動に出ている俺に優しく笑いかけてくれたんだ。

気づいたら高ぶる感情そのままに、北山に手を目一杯伸ばして抱きついていた。



「お…っと」



客席がキャーっと騒いだ声が微かに聞こえた気がした。
そんなの気にならないくらい、目の前の北山で頭がいっぱいだった。

俺…メンバーでよかったって今心から思う。
だってただのファンなら、きっと俺捕まっちゃう。
北山が、手の届く人でよかった…。



「んふ、泣いてちゃ分かんねって」
「…っ」



耳元で優しく笑う北山は、俺が泣いている理由なんて多分お見通しだ。
だって誰にも聞こえないように小さな声で、ありがとな…って言ってくれたから。

身体を少し離して目を合わせた俺を見て北山はふふって笑って、お前泣きすぎってまた目元を拭い、マスクを上までかけ直してくれた。
それから袖に待機していたスタッフさんに目配せして、俺の肩をポンポンと宥めるように撫でた。



「楽屋行ってて、すぐ行くから」
「…ん」
「帰るなよ?」



近づいたスタッフさんにお願いしますと告げ俺の肩をトンと押し、俺はスタッフさんの後をついて歩き始め、扉を出る前にまた舞台を振り返ると…北山がお客さんに向かって何度も頭を下げていた。









「もう、どういうつもりガヤっ、俺めちゃくちゃびっくりしたんだからねっ?」



スタッフさんに連れられ北山の楽屋に入ると、先に着いていた玉に頭ごなしに怒鳴られた。
もう全面的に俺が悪いから、ごめん…と呟いて立ち尽くしていると、玉にでっかいため息をつかれ座ればと隣を促した。



「……」
「……はぁ、もういいや。
これまた泣かせたら俺がみつに怒られるだろうし」
「っ…」
「もー、早く泣き止んでよっ」



玉に乱暴にゴシゴシと目を擦られていると、ちょうど戻ってきた北山が玉っと大声を上げた。

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設定タグ:北藤 , キスマイ , 短編集   
作品ジャンル:タレント
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ひろ(プロフ) - 絢音さまご返信ありがとうございました^_^ 今は過去の別サイトは紹介されてないのですね。それでは新作がアップされる機会を楽しみにしておりますね(o^^o) またご迷惑でなければコメントもさせてください。お忙しいところ、ご連絡くださりありがとうございましたm(_ _)m (2021年5月12日 21時) (レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ひろさん» ひろさん、初めまして(^^)いつも作品読んで下さりありがとうございます♪1ページごとにお星様〜、そんな事言ってくれるの初めてです!とっても嬉しいです(^^)実は歴長いですが、過去の作品は別サイトにあり今はご案内していないんです。お気持ちだけ頂戴しますね(^^) (2021年5月12日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 1ページごとにお星様を押すことができたら良いのに。そしたらぜんぶのページでお星さま押します。たびたびのコメント、失礼しました^_^ (2021年4月26日 15時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - はじめまして。作品いつも楽しみにしています^_^絢音さんの作品の登場人物がみんな優しくて魅力的で、温かい気持ちになるので、とても好きです。他にも作品をお書きになられていらっしゃいますか?可能であれば拝見したいですm(_ _)m (2021年4月26日 14時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ふふふ、ほんとは怖いままで終わらせようとしてました(小声)たまには思い切りなバッドエンドも書きたいと思いつつ、誰得なんだ?と控えてますw。でも最後の描写少なかったかなー、もう1ページ頑張ってもよかったかなぁーなんて沸々思ってきてます(*゚▽゚*) (2021年4月2日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絢音 | 作成日時:2019年11月3日 23時

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