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わたしはとりあえず数原さんに
お辞儀をすると、
練習する涼太くんたちの撮影をはじめた。
振りの練習をする姿、
互いに注意しあう様子、
真剣な顔、
うまくいって笑い合う姿、
集中する横顔、
後ろ姿……。
しばらく撮影してから、
教室の隅で撮った写真を確認する。
これをコラージュしたら、
それなりにいいとは思うけど……
でも、ちょっと違う。
なんでだろう。
なんか、わくわくしない。
もっといいアイディアがある気がする。
龍「どう？いい写真撮れた？」
数原さんが私の隣にきて、
スマホをのぞき込んできた。
わたしはスマホを渡した。
龍「いいの？」
「はい、ちょっと見てみてください」
数原さんは画面をタップして次々と
撮った写真を見ていた。
龍「ああ、よく撮れてるんじゃない」
「ありがとうございます……でも、なんか違うなぁって」
龍「そう？」
「最初は練習風景をコラージュにしようと思ったんです。でも、アルバムじゃなくてTシャツにするわけだから、１枚でばしっと決まる写真がいいなぁって」
龍「なるほどねぇ」
「でも、集合写真みたいのだと、記念品みたいになっちゃうし……」
と、数原さんの手が止まった。
龍「あ、ごめん、つい別のまで」
すると、いつのまにか応援団を撮った写真が終わり
わたしがInstagram用に撮っている
空の写真になっていた。
「わー！」
わたしは思わず数原さんから
スマホをひったくるように取り上げた。
たいした写真じゃないけど
人に見られるのはなんとなく恥ずかしい。
そんなわたしを気にせずに数原さんは言った。
龍「今みたいのいいじゃん。練習風景にこだわらなくても」
「でも、空の写真じゃ…」
龍「うーん…………そうだね。なんか意味付けができればいいと思うけど」
そう言われて、わたしはあらためてまじまじと
自分の写真を見た。
抜けるような青い空が嬉しい日で
朝、夏恋と待ち合わせているバス停まで
ひとりで歩く道すがら空の写真を
撮ったのだった。
雲ひとつない、どこまでも続いていく青い青い空……。
青軍だから、青い空とかってこじつける？
それじゃなんだかストレートすぎるし、
ありきたりかな。
もっと今の青軍応援団の個性を出したい。
涼太くん率いる応援団らしさってなんだろう……
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作者名：ゆーか
| 作成日時：2017年10月16日 19時
