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きっとみんな夏休み前には彼女ができてるんだろうな……、

わたしはそう思いながら成り行きを見ていた。





運動は得意じゃないし、みんなの足をひっぱりたくないから、




体育祭は気分の重い行事だ。




できるだけ競技に出たくないし、

本当は当日休みたいくらい……、

そんなことを考えていたら、

団長になった涼太くんが声をあげた。




涼「さぁ、次!衣装係やる女子いない?」


先ほどまでのにぎやかさが嘘のように、女子たちが口をつぐんだ。





涼「衣装係の主な仕事は……えーっと、応援団が、使ったり身につけるハッピやTシャツ、はちまきや扇子などの小道具、さらに、横断幕や軍旗の作成!」


涼太くんがプリントを読み上げる。



涼「うーん、これは大変だ。でも、応援団と仲良くなれるよ?笑」

わざとおどけて涼太くんも言うけど、

女子たちからは苦笑いがもれた。




確かに、応援団のメンバーと衣装係の女の子が

カップルになる確率が高いのは、

みんなが知ってる事実。




でも、だからといって、この大変な仕事を簡単に

引き受ける女子はなかなかいない。



学校の授業や部活なんかも普通にあるから、

一ヶ月半ですべて作るのはなかなか大変で

毎年衣装係はてんてこまいなのも有名な話だ。



体育祭前の数日はほぼ徹夜になるなんて話も聞く。

しかも、応援団のように前に出るわけでもなく

あくまでも縁の下の力持ちという存在なので、

例年誰もやりたがらないのだ。





そのとき、夏恋が手をあげた。


夏「わたしやろっか?」

その言葉にクラス中がざわついた。


最近、夏恋と涼太くんが仲良いのは誰もが気づいていた。

人気者同士、お似合いだよねという声もよく聞こえた。

その渦中の夏恋が、わざわざみんながいやがる、

衣装係に立候補したのだ。




それはまるで、夏恋が涼太くんの助けになりたいと

言ったも同然に聞こえた。


チア部の仲間が「夏恋がやるなら、わたしもやろっかなー?」と言い出し

夏「やようよー!みんなでやったら楽しいよ」


という夏恋の言葉でほぼ決まりかけていたかと

思われた。







しかし、涼太くんは渋い顔をした。

涼「お前らチア部だろ。チア部も体育祭で、デモンストレーションやるじゃん。練習あるだろ?」


夏「えー、なんとかなるよー、多分!」

頬をふくらませて夏恋が言った。









涼「せめて、誰かひとり、責任者決めて、衣装係に専念してくれないとさ」

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作者名:ゆーか | 作成日時:2017年10月16日 19時

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