56 - 一枚のチケット ▼ you side ページ6
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やっと自宅の最寄り駅に到着。
改札を出ると、空はもう薄暗くて少しだけ肌寒さを感じる。
ポケットからスマホを取り出して、通知画面を確認するけど、平野くんからの返信はまだない。
駅前の横断歩道の信号が赤になり、足を止めると、
「ぽんぽん」と誰かに背後から肩を優しく叩かれた。
「・・・・・・?!?!ひら・・・っ!」
紫「しーーっ!!」
振り返るとそこには平野くんがいて、大声を出そうとしたわたしの口を手のひらで軽く押さえた。
紫「しー。バレちゃう。」
帽子をこれでもかというほど深く被り、マスクをしているその姿は変装というより、不審者に近い。
押さえられた手のひらから、ほんのりと平野くんの香水の香りが漂ってくる。
横断歩道の信号が青になり、口元から離れた平野くんの手が今度はわたしの手に触れた。
紫「歩こ。Aちゃんの家まで送る。」
この現状に頭がついていかない反面、繋がれた手に引かれ、平野くんについていく。
「ちょっと待って。なんでここにいるの?!」
紫「お仕事終わったって聞いたから、Aちゃんの最寄り駅まで行ったら会えるかなって思って、急いで来た。間に合って良かった。」
そう言って、微笑んでこちらを見る。
「・・・そんな変装してても、平野くんってバレちゃうよ。」
紫「え?そんな隠せてない?」
「隠せてないというか、逆に目立つというか・・・。」
紫「そ?ほら、前向いて自然に歩けば大丈夫。」
歩幅を合わせて歩いてくれる平野くんだけど、
わたしと平野くんの手は繋がれたままで、異様に意識してしまい、手汗がじんわりと滲む。
平野くんのその言葉を最後に、お互いの緊張がお互いに伝わって、静かに道を歩んでいくわたしたち。
自宅に近付くにつれて、人通りも徐々に少なくなっていく。
「あ、ここ。」
マンションに着くと、足を止めた。
繋いでいた手が自然と緩まり、離れる。
紫「Aちゃんの家、無事到着。」
「ありがとう、送ってくれて。」
平野くんが帽子のつばを少し上にあげると、
あの綺麗な瞳がよく見えるくらいに露わになった。
紫「実は、Aちゃんに渡したい物あって。」
「渡したい物?」
紫「ん、直接渡したくて。」
そう言うと、平野くんはポケットから何かを取り出そうとする。
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mugi(プロフ) - キンプリさん» キンプリさん、はじめまして!すみません、コメントいただいたことに今気付きました(泣)オススメ欄からご覧いただき、とても嬉しいです〜!☺︎ 最高なんて言葉に照れました(´-`).。oO ありがとうございます!またコメント是非お待ちしてます! (2022年5月6日 11時) (レス) id: a81b354234 (このIDを非表示/違反報告)
キンプリ(プロフ) - こんばんは。はじめまして。夜遅くにコメント失礼します。このお話がおすすめに出てきて、最初読んでみたら本当に面白すぎてハマりました!!一気に今アップされてるところまで全部読ませてもらいました!主さん、最高すぎです!これからも、更新楽しみにしています。 (2022年3月31日 22時) (レス) @page45 id: c3894689ba (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - 探偵 コーヒー珈琲(珈琲百円)さん» コーヒー珈琲さん、はじめまして!更新がかなり遅くなってしまい、ごめんなさい( ; ; )コメントとっても励みになります!少しずつ更新して行くのでどうぞよろしくお願いします ♪ コーヒー珈琲さんは平野くん派ですか?永瀬くん派ですか?☺︎ (2022年3月31日 11時) (レス) @page44 id: a81b354234 (このIDを非表示/違反報告)
探偵 コーヒー珈琲(珈琲百円)(プロフ) - 最初の1話でとっても面白かったです!お気に入り失礼いたします!更新待ってます。 (2022年2月2日 22時) (レス) id: 237062e455 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - mugiさん» こんにちは。ずっと仕事で見たらたくさんお話が更新されてて( ;∀;)ありがとうございます!癒されました〜。:+((*´`))+:。 (2022年1月5日 13時) (レス) id: e82f003a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mugi | 作成日時:2021年11月15日 21時