「それでも、好きです。」2【平野紫耀】

55 - 一枚のチケット ▼ you side ページ5

《 you side 》





仕事終わりに会社を出るタイミングでスマホを見ると、平野くんからラインが来ていた。





〈 そろそろお仕事終わる時間？ 〉





今日は残業もなくて、定時退勤。





駅に向かいながら、平野くんへメッセージを返す。





〈 ちょうど今終わったところだよ。平野くんは？ 〉





すっかり毎日の日課となったラインのやりとり。





先週、無事に映画の撮影がクランクアップを迎えたらしく、超多忙だった平野くんのスケジュールもようやく落ち着いたみたいだった。





駅に着くと、鞄の中から定期を取り出し、改札をくぐる。





　「あ、電車。」





ちょうど、自宅方面へ向かう電車がホームに入って来たところだった。





空いている席へ座ると、右手に握りしめていたスマホが平野くんとのトーク画面のままになっていたことに気付く。





･･･あれ？





しかも、ついさっき送ったメッセージに既読がついていた。





すぐに返事が来るかなと思い、ロック画面をつけたり消したりしてみるけど、なかなか来ない。





まだお仕事中？





『次は、〇△□駅です。お出口は右側です。』





帰宅ラッシュの時間帯ということもあって、あっという間に混み始めた電車に揺られながら、車内のアナウンスがぼんやりと耳に入る。





誰かの視線を感じ、ふと、頭上を見上げると、





「わ。」





同時に、びっくりして思わず声が出てしまう。





隣に座ってた人にじろりと変な目で見られて、恥ずかしくなって慌てて俯いた。





大きく深呼吸をして、再度見上げると、車内にキンプリがモデルとなっている広告が大きく掲載されていた。





･･･すごい。これどこの広告だろ。





キンプリのメンバー5人が大きく映っていて、この前初めて会った神宮寺くんや海人くんもこっちを見て、クールにポーズを決めていた。





一際目立って見えたのが、5人の真ん中で澄ました表情をしている平野くん。





広告からもこんなに凄まじいオーラを感じる平野くんは、きっと、こうやってわたしみたいに、毎日どこかで誰かのことを釘付けにしているんだろうな。





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