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「俺、北斗のこともきょものことも好きだからどっちも応援したいわけよ」
「うん」
「だから、お前もちゃんと言えよAちゃんに」
「……分かってる」
今までだって何度も言おうとしたんだ。
だけど、俺のことを過保護だとか、お父さんみたいだとか言うAからはしっかりと線引きされてる気がして。
なかなか言えないダサい男なわけよ、俺は。
「あ、ワンコちゃんライン教えて？」
「ライン、ですか？良いですけど…」
ちょうど席に戻った時、そんな声が聞こえたから慌てて阻止する。
「A、もうウーロン茶にしなさい」
「なんで？パパ」
こんなに酔ってるAは、久しぶりに見た。
委員会の飲み会とかはいつも隣に座ってたからあんまり飲ませないようにしてたし。
「酔ってる、顔赤いよお前。
てかパパって言うな」
「そうですか？」
まだ飲みたいとか言い出すAに若干イラつく。
本当にこの危機感の無さはいつか痛い目に会う気がして、俺の方が気が気じゃない。
「だめ、明日頭痛くなるよ？」
「お願いおにーちゃん」
ほら、また。
パパとかおにーちゃんとか。
「すみません、水貰っていいですか？」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ほんの少しでも酔いを覚ませようと、店員さんに水を貰ってAに渡すと、ぐびぐび飲んでる。
水を一気に飲み干すとはぁー…って分かりやすくウトウトし出す。
ほんと、子どもみたい。酒を飲んでることを除けば。
いっつもこうやってすぐ寝るんだよ、俺ん家でたまに飲む時も。
はぁ……俺がどんだけ必死に理性保ってるのかこいつ全く分かってないんだろうなって。
パパじゃねーから。おにーちゃんでもねーし。
俺だって男よ？
樹にもうお開きにしようって言うと、素直にみんな店を出る準備をし始める。
京本がAを送ってくとか言い出してAの荷物まで持とうとするから、それだけはまじで…と思って素早く鞄を奪い取った。
京本にもしっかり牽制かけとかないと。
「ワンコちゃんと北斗は付き合ってるの？」
店を出たとこで、京本がどストレートに聞くから、ちょっと焦る。
ここでそうだよ、とか言える…訳はなくて。
チキンだし。
「��妹��でしょ。
じゃ、またバイトで。おつかれ」
……最悪だ。
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作者名：chaka
| 作成日時：2022年6月18日 12時
