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「京本大我です。
えーっと、前のバイト先が潰れちゃったから
ここを受けました。
K大の4回生です。よろしく」
「えっ！」
分かりやすく京本の言葉に反応したA。
なんだよ。
「北斗さ、就活どうなの？」
「んー、まあ系統は絞ってるかな」
「静岡帰らないの？」
「うん、今の家から通えるとこがいいしそのつもり。慎太郎は？」
俺と慎太郎が就活の話をしてる隣で、京本とAが仲良さそうに話してるのはうっすらと聞こえてた。
そんな2人を気にしつつ、トイレ行こーぜって言う慎太郎にしぶしぶ着いていく。
連れションなんて、女子高校生じゃあるまいしってツッコもうと思ってたら、北斗分かりやすすぎって一言。
「…なにが」
「きょもとAちゃんのことめっちゃ見てんじゃんお前」
「……見てねーよ」
「じゃあお前、俺が面接何個受ける予定って話したか覚えてんの？」
「・・・ごめん」
そう聞かれると、はっきりと覚えていなくて、自分がどれだけAのことを気にしてるか思い知らされる。
「いーの？」
「だから、なにが」
「きょもだよ。あいつ行く！って決めたらグイグイ行っちゃうよ？止まんないタイプよ？」
「なんで俺に言うわけ」
「お前に言わずして誰に言うんだよ！」
どうやら、慎太郎に俺の気持ちはバレバレみたいで。
もう隠すのも面倒になった。
「でもさ、Aが楽しそうなら良いのかなって」
「お前さぁ…」
分かってるよ。
俺がチキンなのは分かってる。
ただの優しさのつもりで声を掛けた後輩の女の子にベタ惚れなんて。
好きって気付いたのはだいぶ前なのに、兄貴ヅラして周りの男に牽制かけて。
挙句の果てには、京本といい感じ…に見えることに嫉妬して、また何も言えないなんて。
自分でも引くくらいキモイよ。分かってるって。
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作者名：chaka
| 作成日時：2022年6月18日 12時
