２８０：良かった？ ページ27
.
今更何話すって言うの。
「ちょっ、A？」
意外だと思ったのか、北斗くんが焦ったようにそう言う。
「行こう？北斗くん。ケーキ取りに行かないと」
それじゃあ、と大我先輩に背を向けて北斗くんの腕を引く。
「待てって、」
足早に私たちの前に回った大我先輩と目が合った。
なんでよ。
なんで大我先輩がそんな顔……するの。
「そうやって呼んでんの？」
「……え？」
「北斗のこと、もう先輩って呼んでないの？」
なんでそんなこと……。
「大我先輩には…関係無いです、よね」
私がそう言うと、そうだよなって。
ごめんって。
大我先輩が苦しそうに笑う。
「それなら、良かった」
……は？
今、なんて？
大我先輩がどういう解釈をしたのか知らないけど、良かった……って。
恐らく、私と北斗くんがそういう仲…だと。
そう解釈したんだと思うけど。
それが良かった…ってこと？
そう言いたいの？
こっちは必死に強がってるっていうのに。
いくらなんでも……もう限界だった。
これ以上話してると結局逆戻りしてしまいそうで…早く先へ進もうと、北斗くんをグイグイ引っ張ってもビクともしない。
「どういう意味だよ、それ」
「ちょ……北斗くん」
足を止めた北斗くんが、大我先輩を思い切り睨んでそう言った。
「お前…分かって言ってんの？」
「は？」
いつも…そう。
北斗くんは、私の代わりに怒ってくれてた。
「北斗くん……良いから」
「なんで良いんだよ。Aずっと、」
「え？」
え？って驚いたような顔をした大我先輩。
もしかしてずっと俺のこと…ってキモがられた？
「やめてって…」
無理無理。全然無理すぎる。
「良いから行こ。北斗くん」
「でも、」
「もう居ないって…さっき言ったじゃん」
「A……」
あの頃大好きだった大我先輩はもう、居ないんだよ…。
今更会って話して……あの頃の話はただの思い出として語られて、この人と付き合ってるんだ、なんて……もし、その女の人を紹介されたりしたらもう。
私どうにかなっちゃいそうなんだよ。
「行こ……ケーキ屋さん、閉まっちゃうよ」
その後も何度か私の名前を呼んでいるのが聞こえたけど、必死に聞こえないフリをして。
本当に良いの？って言う北斗くんの言葉も無視して。
強引に北斗くんの腕を引いて、その場から立ち去った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1999人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chaka(プロフ) - らいおんさん» らいおんさん、大変大変お返事遅くなりました……💦すみません！夢主ちゃんの長年の恋がやっとやっと実りました！！超絶拗らせてる大我先輩には心臓取られちゃいますよね😂 (1月4日 18時) (
レス) id: 93153d1174 (このIDを非表示/違反報告)
chaka(プロフ) - JUJUさん» JUJUさん、大変大変お返事が遅くなり申し訳ございません💦おにいちゃんのともだちから！ありがとうございます🥰続編希望嬉しいです！いつか出せたらいいなと思ってますのでお楽しみに😌🫶 (1月4日 18時) (レス) id: 93153d1174 (このIDを非表示/違反報告)
chaka(プロフ) - 名無し78305号さん» 名無し78305号さん！コメント嬉しいです🥰だいぶ長編だったのにイッキ読み！ありがとうございます🥹💘私もこのお話の大我くんに恋しちゃってます😭(笑)続編希望嬉しいです！前向きに検討させて下さい🌸 (1月4日 18時) (レス) id: 93153d1174 (このIDを非表示/違反報告)
名無し78305号(プロフ) - 答え合わせを一気に読ませていただきました！終始涙が止まらず、今もずっと大我先輩に恋してしまっています😭🥺🤍もしよろしければ続編を大変希望しておりますのでどうかご検討の程よろしくお願いいたします🙇♂️🥺 (1月4日 5時) (レス) id: 51150dac50 (このIDを非表示/違反報告)
JUJU(プロフ) - おにいちゃんのともだちから戻ってきて改めて読みました！続編希望しすぎてます😭😭 (10月16日 20時) (レス) id: 20091c0e6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：chaka
| 作成日時：2022年11月26日 18時
