雪原に舞う銀華(アレスの天秤)3

film6 十八番 ページ7

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豪炎寺が十八番のファイアトルネードを決めたことで、さらに盛り上がる観客席。

試合時間は五分を切っており、追い上げる星章学園にとって、3対1という2点のビハインドはかなり厳しい状況であった。

｢あと3点取らなくちゃいけないのか……｣

イレブンバンドを見つめながら、早乙女が苦い顔で呟けば、隣から灰崎が平然と答えた。

｢ざけんな、ちゃんと目あけてみろ。見えてくるぜ勝利への道が｣

不敵に笑みを浮かべ言う灰崎の横顔をみながら、早乙女は決意を固めたような顔つきになった。

｢行くぞてめえら！｣

灰崎が振り返りながら、大声で喝を入れれば、星章学園の面々は凛々しい顔でうなづいてみせる。

灰崎ボールでの試合再開。開始早々彼は、鬼道にパスを出すが、木戸川清修の固い連携ディフェンスが行く手を阻む。

｢鬼道の行く手はふさがれている。木戸川清修、連携の守りが固い！｣

しかし、鬼道は素早くフィールドを見渡すと、敵の意表をつき、左サイドから上がっていた早乙女へとパスを出す。

ボールは灰崎へと渡り、再び早乙女に戻ってきた。

小柄な早乙女と対象的な大柄な木戸川清修のDFが立ちはだかるが、彼は優しい顔で瞳を閉じると、自身を抱きしめて、必殺技を繰り出した。

｢エンジェルレイ！｣

早乙女から放たれる光の神々しさに敵は彼を見失ってしまう。

早乙女は、難なくゴールへと向かうと、ノーマルシュートを決めて、木戸川清修から1点を奪った。

｢灰崎君が連携を意識するだけでこうも変わるものなんだ……｣

ベンチから星章学園を見守りながら、春奈が思わず呟けば、Aも微笑を浮かべながら囁く。

｢全てはピッチの絶対指導者の思惑どうりって訳ね｣

木戸川清修ボールでのリスタート。攻め上がるキャプテンの武方勝から、白鳥がボールを奪いに行く。

目の前の白鳥に夢中で、背後から近づいてきた水神矢に気づかなかった武方は、2人の見事なコンビネーションを前に為す術もなく、あっさりとボールをうばわれてしまう。

｢星章学園、パスを正確に繋いでいく！このボールが運ぶのは、まさに勝利への熱い思い！｣

水神矢から蹴り出されたボールは、何人もの味方がパスを繋いでいき、最前線の灰崎にまで繋がった。

灰崎はボールを大きく蹴りあげ、指笛でペンギンを呼び出した。

｢オーバーヘッドペンギン！｣

灰崎十八番のペンギンシュートは、物凄い勢いでシュートに襲いかかり、木戸川清修から3点目をもぎ取った。

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