film4 意思疎通 ページ5
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試合再開のホイッスルが鳴り響き、星章学園からのリスタート。
「どうして灰崎君とAちゃんをお兄ちゃんは守備に置いたんだと思う?」
「灰崎君と私をあそこに置いたのは、灰崎君を真のエースストライカーとして機能させるため」
春奈が伺うように隣に座るAをチラと見て尋ねれば、Aは視線はフィールドを真っ直ぐに見つめたまま、いつもの様に凛とした声で答える。
フィールドでは、灰崎と鬼道が息のあったパスワークで、どんどんと木戸川清修を抜いていた。
「チーム全員の信頼を受けて、思いのこもったボールを受け取ることができる。」
Aの言葉と同時に、灰崎は白い歯を見せ、ニカリとわらうと、後ろから2人を追っていた佐曽塚にパスを出した。佐曽塚と折緒は驚いて、思わず「え…」と間の抜けた声を出してしまう。
ー全ては灰崎君を成長させ、星章学園のチームの結成力を木戸川清修を上回るものにするためにー
ね、と人差し指を立てながら、Aは付け足して言う。変わらない彼女の分析力と、鬼道との意思疎通の高さに春奈は驚いたように、彼女を見つめる。
「驚いた。その通りよ」
「本当?良かったわ」
春奈が目をぱちぱちとさせながら感心したように息を飲めば、Aは目を狐のように細めて安心したように胸に手を当て呟いた。
(多分Aちゃんのことだから、気づくだろうとはお兄ちゃんも言ってたけど、まさかここまで作戦の本質を見抜いていたなんて……)
春奈は、ミーティングルームで事前に鬼道から指示を受けた際に彼が言っていた言葉を思い出す。
監査役として、日本全国をまわり、全てのデータ管理を任されているだけはある。それだけ、彼女もこの1年で更に成長したということだろうか。
春奈はフィールドを真っ直ぐに見つめるライトブルーの瞳を見つめながら、ぼんやりと物思いにふける。
「あっ!抜いた!」
突如Aの弾んだ声が脳内にひびき、春奈は一気に現実の世界に引き戻された。
嬉しそうに自分の手を取ってきたAの視線の先を追うと、覚醒した灰崎が豪炎寺のマークも振り切り、物凄いスピードで木戸川清修ゴールへと向かっていた。
「速い!フィールドの悪魔灰崎凌兵、華麗にマークをかわす!やはりFWが灰崎の居場所か!?」
ボールを蹴りながら灰崎は、先程の鬼道の言葉を思い出す。彼のいう"最高のサッカー"それはこういうものかと納得しながらも、灰崎が求めるのは鬼道の思い描く物とは正反対であった。
「復讐のためのな!」
そう叫ぶと、灰崎は1人で木戸川清修の連携ディフェンスに切り込んでいく。
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シロナ(プロフ) - 愛音さん» リクエストありがとうございます!水神矢くんは、対王帝戦の前後で、雪乃ちゃんを精神的に支えます。絡みは、少し先のお話で予定しているので、お待ちいただければ幸いです! (2019年3月20日 22時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 水神矢成龍くんとの絡みをお願いします。 (2019年3月20日 21時) (レス) id: 95fbe585e8 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - あんさん» あんさん、リクエストありがとうございます。鬼道さんとは、星章対王帝の試合で沢山絡ませる予定です!せっかくの幼なじみ設定なので、日常での絡みも増やしたいと思っています(*´艸`) (2019年3月20日 11時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
あん - 鬼道さんとの絡みをお願いします。( ̄^ ̄ゞ (2019年3月20日 10時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sirona | 作成日時:2019年2月28日 20時