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film13 スズラン ページ14



「本当に1人で大丈夫かい?」

今日何度目かも分からない問いかけをする少年の整った顔を見上げて、少女は困ったような愛おしむような顔で笑うとうなづく。

それでも、まだ納得いかなそうな顔をしていて。
拗ねた子供のように、幼い顔をする彼に

「ありがとう。明日人達も試合を見に来ているから。きっと、私の事待ってると思うの」

と言えば、野坂は何故か少し不服そうに、けれど優しく微笑むとうなづいた。

「本当は私も茜さんに会いに行きたかったんだけど……」

「ああ、伝えておくよ。でも今日はもう休んだ方がいい」

目を細めて少し残念そうに言えば、野坂は諭すようにあやすように囁いた。

「うん……」

「それと……これ」

何だか野坂にまで心配をかけて申し訳ないなと思って、思わず俯いたAの前に野坂はある物を差し出した。

「顔あげてご覧?」

野坂に促され、ゆっくりと顔を上げれば、彼は一本の花束を大事そうに抱えていた。

「綺麗……」

目の前の白く美しい花に目を奪われ、恍然とみ惚れていると、野坂はAにその花を手渡した。

「スズランだよね?」

「ああ、君にぴったりの花だと思ってね」

「ありがとう……嬉しい……」

Aは、穏やかに微笑むと、慈愛に満ちた瞳でそっと花を見下ろす。

細く長い1本の茎に、小さな白い花が何個も連なるように、垂れ下がっている。

丸みを帯びたシルエットや華奢で真っ白な小花は、彼女によく似ていて、とても似合っていると野坂は思った。

「茜さんに渡す花を買いに行った時に、この花も買ったんだ。花は好きなのかい?」

「うん……田舎の祖父母の家の近くに綺麗なお花畑があったから。」

「そうか……スズランの花言葉を知っている?」

Aが静かに首を横に振り、否定すれば、野坂は目を細めると、微笑を浮かべ言った。

「再び幸せが訪れる」

「!?」

その言葉を聞いた刹那。Aのライトブルーのひとみが大きく見開かれた。野坂はおかしそうに少し笑うと、彼女の肩に手を置いて続ける。

「他にも、純粋、優しさなどの意味が込められているんだ。フランスでは花嫁にスズランを贈る風習もあるんだ」

君にぴったりだと思って選んだんだ。野坂が、そう恥じらいもなく言えば、Aは微かに頬を赤くし、少女のようにくすぐったそうに笑った。

けれど、わざわざ花嫁のことを話した野坂なりのアピールには、気づかない。

それもまた純粋だからなのかなーなんて思いながら、野坂は嬉しそうに花を抱えるAを見つめたのだった。

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シロナ(プロフ) - 愛音さん» リクエストありがとうございます!水神矢くんは、対王帝戦の前後で、雪乃ちゃんを精神的に支えます。絡みは、少し先のお話で予定しているので、お待ちいただければ幸いです! (2019年3月20日 22時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 水神矢成龍くんとの絡みをお願いします。 (2019年3月20日 21時) (レス) id: 95fbe585e8 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - あんさん» あんさん、リクエストありがとうございます。鬼道さんとは、星章対王帝の試合で沢山絡ませる予定です!せっかくの幼なじみ設定なので、日常での絡みも増やしたいと思っています(*´艸`) (2019年3月20日 11時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
あん - 鬼道さんとの絡みをお願いします。( ̄^ ̄ゞ (2019年3月20日 10時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sirona | 作成日時:2019年2月28日 20時

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