愛の権利３＿skab

第100話 sk ページ3

昨日阿部ちゃんからLINEが来た。
白い封筒の写真と、お届けが一日遅れちゃうけど明日郵便屋さんにお願いするね、ってメッセージ。
郵便屋さん？と思っていたらそれはめめのことだったらしくて。
午前中撮影するスタジオの楽屋でめめから受け取った。



今は全部の仕事を終わらせて移動車の中。
読むのは帰ってからにしようと思ってたけど、早く読みたくてうずうずする。


「あ、そろそろじゃないかな。」


運転席からマネージャーの声がする。


「ん？」
「阿部くんと目黒くんの写真が載るの。」
「ああ。」


なるべく気にしないように、って言えばかっこつく？
実際のところは現実逃避しようとしてたってだけだけど、今日は二人の写真が流れる日。
有名な週刊誌も今やネットの時代。
載せられちゃえばその瞬間からばんばん拡散されるって、なんかほんとすごい時代だよね。


「ＳＮＳの反応どう？」


これは見ろ、ってことか。


「さあ。」


いったんはぐらかしてみる。


「明日から関係者の反応とか対応も変わるかもしれないし、ちゃんと佐久間くんも確認しないと。
プロジェクトの先駆者なんだから。」


俺らのことテスト扱いしたの知ってるぞ、とは言わないでおくけどさ。
そしてそんなにこの場で俺が見なきゃ気が済まないのかと思うけど、仕方ない。
どうせいつかは見るんだ。

えい、と一思いにアプリをタップする。
既に＃めめあべはトレンド入りしていた。
それをまたタップすれば、拡散された画像が一番に目に入る。

顎に手をかけられて、くいっと上を向かされてキスする阿部ちゃん。
そして上から阿部ちゃんの高さに合わせるようにキスするめめ。
なんというか、言いたくはないけど、それしか言葉を知らないから仕方なく使うとすれば、画になる。

阿部ちゃんに上向かせてキスすんのなんて、俺でさえそんなにしたこと無いのに。
だって俺がソファ座ってて阿部ちゃんが床に座ってる時とか、やれる時限られてるじゃん。
なのにそんな貴重な姿、世間の皆が当たり前のように見やがって。

第101話 sk→←第99話 ab

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す