命令9 ページ8
黒尾「や……く……?」
川西「あんた、俺が既に2人殺してるから大丈夫だと思って来たんじゃない?」
黒尾「お、い……ウソだろ……っ」
川西はぐっと顔を近づけ、焦点の合わない黒尾を見つめた。血が一滴、黒尾の額に落ちた。
黒尾「なんで……」
川西「俺は別に命令の為に殺したんじゃない。邪魔だったから殺しただけだ」
その瞬間、黒尾の目が川西を捉えた。激しい憎悪と絶望が渦巻く瞳は薄い涙を纏っていた。
黒尾「お前……狂ってる……!」
川西「……そうかも」
川西は黒尾の両手を地面に縫い付け、顔を一旦離した。
黒尾「なんで俺を殺さないんだよ……っ、もう……」
川西「あんたが来てくれたのは好都合だった。つまり俺は元からあんたに用があった」
黒尾「用って……何だよ。白布の事なら……」
川西「いや違う。未送信メールの事」
黒尾は目を逸らす。また一滴、黒尾の頬に垂れた。
川西「もう生きてんのも辛いんじゃないか?」
黒尾「っ……!」
川西「仲間を目の前で何度も死なせて、罪悪感と責任に苛まれて……生きてる自分に嫌気が差してるんじゃ……」
囁くように、暗示をかけるように。川西は言葉を紡ぐ。
じわり。つぅ……と黒尾の目尻から一筋の涙が流れた。
川西「面倒事は捨てたら?未送信メールの文字をちまちま集めて……もう意味なんか無いって……思ってたりするだろ」
図星を指摘された黒尾は脆かった。涙を拭う事すら許されず、嗚咽を漏らす。
川西「俺が引き継ぐ。だから教えて。その後、楽にしてやる」
それはとても甘い、魅惑の囁きだった。その裏に隠された毒に気づくこともなく……否、気づいても尚それに縋りたくなってしまう。そして……堕ちていく。
黒尾は鼻をひとつ啜って、ポケットから静かにスマホを取り出した。
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すみた先生(プロフ) - 生きてる人さん» 読んでいただきありがとうございます!自分でもなんで川西をここまで育てたのかよく分かりませんが、役がハマったようで良かったです(笑)。どうかそのまま生きてください…… (7月24日 23時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
生きてる人(プロフ) - 読んでいるうちに片鱗は見えてたのですが命令9の川西が本当に大好きすぎました!!!!!!このような素晴らしい川西をありがとうございます!!あなた様のおかげで命が救われ気力体力全回復しましたありがとうございます!!!!!!! (7月24日 8時) (レス) @page3 id: 17d3aa535f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 命令9の最後にて、チーム分けに間違いがありました。国見と金田一が逆になっていた事をご指摘頂きましたのでここで報告させて頂きます。混乱された方、大変申し訳ございませんでした。訂正し、お詫び申し上げます。 (2022年1月3日 19時) (レス) @page48 id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 員脚さん» ありがとうございますっ!どんどん加速してラストスパートかけていくんでよろしくお願いしまーす!! (2022年1月2日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
員脚 - あらあら!!!川西くんが活躍しちゃうわ!!!まさかBチームが勝つとは!!やっぱ“すみた先生”最高っスワ (2022年1月2日 22時) (レス) @page48 id: a61a8e014c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年8月9日 12時