検索窓
今日:3 hit、昨日:28 hit、合計:210,186 hit

41 ページ42

.





「あのなぁ、派手なキスする前に、まず怪我の手当てしろよな!?」

「…………」

「久しぶりに会って想いが爆発したんはわかるけどよ、外で、あんな派手によぉ」

「…………」



少し離れた場所で、Aさんを叱る宇髄さんの怒声が響く。

ただそれは、呆れたような、しかしどこか嬉しそうな、そんな声色をしていた。

私は、蝶屋敷の縁側で、不死川さんの傷に消毒液を垂らしながら、その様子を横目で疑う。

……Aさんが怒られているところを見るなんて、これが最初で最後かもしれない。

考えながら作業をしていたせいか、手元が狂って力が入ってしまい、消毒液を含んだ綿を傷口に強く押し当ててしまう。

不死川さんが「ってェ」と、苦痛の声を漏らした。



「上手くいったんですね、不死川さん」



表情をチラリと窺うと、不死川さんは、ほんのり顔を赤くして。



「っせェ…………」



片手で顔を覆ってしまう。

隙間から見え隠れする大きな瞳は、明らかにAさんを捉えていて、その口は嬉しそうに歪められていた。

それを見て、にやつかない訳にはいかず。



「よかったですね」

「…………黙れェ」

「抑え効かなくて、夜襲ったりしては駄目ですよ」

「するか!てめェ余計なことぬかしてねェで、とっとと手当てしろやァ!」



わかりやすいほどに真っ赤に染まった顔を見て、子供の成長を喜ぶ親のような心境になってしまった。

是非とも甘露寺さんに教えたい。

そうすると必然的に伊黒さんには伝わる訳で。

伊黒さんはAさんに非常に憧れているから、まさか不死川さんと恋仲になっただなんて知ったら、驚きで失神してしまうのではないか。

考えて、私は一人苦笑いを浮かべた。




……それにしても、不死川さんの、本当に幸せそうな表情。

よかったですね、Aさん_____





.

42→←40



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (396 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
595人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

mikitty(プロフ) - 好きです!!!! (2022年12月25日 13時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - やっぱり何回見ても最高だなぁ、ぐへへ(( (2020年12月19日 14時) (レス) id: 4fc468f2f2 (このIDを非表示/違反報告)
柴犬(プロフ) - 素敵な作品ですね...、愛情表現や色気のあるシーンがすごく好きで一気読みしてしまいました。他の作品も読ませて頂きたいのですがパスワードというのはどちらで伺えばいいのでしょうか...? (2020年5月30日 9時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ohagi - めっちゃ最高でした。自分も腐ってるのでBLの方がよけい萌えました! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 8e8ba22e4c (このIDを非表示/違反報告)
ひつじマイケル(プロフ) - お疲れ様です!読んでいてとても面白かったです!よろしければこれの短編集を読んでみたいです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 37a32601d5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たつき | 作成日時:2020年2月29日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。